Road Impression
似て非なる存在の4車それぞれに性格が違う
Golf GLi
歴代ゴルフ達の伝統的な乗り味を継承
まさにゴルフの中核選手という印象がある
ゴルフに対して、ゴルフプラスをどう捉えるべきか。まずはこの難解な問題に直面する。単純に85mmほど車高を上げたという意味だけでのプラスなのか、それともなにか別のプラスな要素がどこかに存在するのか。
その答えを、実際に乗り比べることで探してみよう。まずはゴルフVのGLiだ。このグレード、Vになってイマイチ影の薄い印象があるのはGTとの距離が近すぎたからか。ともあれ、スペック上でGTとの差異はごくわずか。GTには標準のスポーツサスが付かず、20mmほど車高が高いだけだ。
このGLiだが、改めてジックリ乗ってみると、歴代と同じくゴルフの中核選手そのものという印象がある。動力性能は必要にして十分、常に美味しい部分を引き出してくれる6速ATによって、街中から高速までストレスは感じない。唯一、ストップ&ゴーが連続する流れの速い渋滞のような場面だと、ギアセレクトが頻繁すぎてギクシャクするのが惜しまれる。
フットワークはドッシリとしていて、操作に対してあくまでも忠実、ドライバーの意志通りにクルマが動く。まさにゴルフの味だ。
Golf Plus GLi
重くなった分をカバーしようとして
必死でアクセルを踏む、これが楽しい
これらの感覚は、当然ながら同じパワーユニットを積むプラスのGLiにも当てはまる。だが、ゴルフから乗り換えると、最初、ブカブカのシューズに履き替えたような、クルマとの距離感が感じられた。
車高以外の全長および全幅は同一だから、単純にサイズの問題ではないと思いつつも、ヒップポイントが上昇し、さらに運転席まわりの空間が広がった心理的作用は大きい。包み込まれた感のあるゴルフのコクピットに対して、プラスはいかにもミニバン的な開放感のあるエリアが存在する。
これをネガティブと捉えるかは、人それぞれだろう。しかし、豊富な小物入れや多岐にわたるシートレイアウトなど、プラスが持つ使い勝手のよさは見過ごせない。
また、GLiで比べるとプラスのほうが100kgほど車重がプラスされ、それは確実に動力性能に影響している。ひとりで乗っている分にはとりわけ不満は感じないが、乗り比べてみると、ハッキリとプラスの重さを実感する。だが、ケガの功名ともいうべきか、重くなった分をカバーしようと必死でアクセルを踏んで走る行為は、エンジンを使い切っている感覚があって、ゴルフよりも楽しいと感じた。欧州のスタンダードモデルはこういう部分に奥深さがある。