1.4Lの排気量を感じさせないTSI
まずはTSIでコースインしたが、サーキットで真っ先に感じたのは、市街地やワインディングで感じた以上に中低回転域のトルクが充実しているということ。1.4Lという排気量の少なさを感じる場面は皆無といっていい。低回転域ではスーパーチャージャーが過給しているのでターボラグがなく、アクセルを踏んだ瞬間から厚みのあるトルクを発揮する。
カタログデーターによれば24.5kg-mの最大トルクを1500〜4750rpmの間で発揮するとあるが、さすがに2000rpm台ではサーキットでタイムを削り取るような速さは得られない。しかし、3000rpm台の後半、具体的にいえば3800rpmくらいからはサーキット走行でも十分に使える加速性能を示し、トルクの太さでクルマをグイグイ前に押し出すような加速感を得られる。
そして4500rpmくらいになると、ターボの伸びの良い加速フィールに取って代わり車速を伸ばしていく。TSIのいいところは、低回転域のトルクの太さとともに高回転域の伸びのよさも確保しているところにある。スーパーチャージャーだけではどうしても機構上のメカニカルロスが高回転域でのパワーを減殺してしまう。その領域をメカニカルロスのないターボで受け持ってくれるわけだ。
一方、ハンドリング面では、サスペンションがスパルタンなセッティングではなく、むしろしなやかな味付けなので、強引にコーナーに飛び込みクルマを捻じ曲げようとすると、フロントアウト側の沈み込みが大きくなり過ぎてしまう。だから、気持ち進入スピードを控えめにして、コーナーのアペックスポイント(頂点)くらいでスイッと向きを変え、なるべく早くアクセルを踏み出すようにしてやるほうが、スムーズで速い立ち上がり加速が得られる。
特に本庄サーキットはタイトコーナーが多いので、立ち上がり重視で走るのがいい。コーナー半ばのアクセルコントロールも、スーパーチャージャー領域なので、アクセルの微妙な操作にリニアに反応してくれコントロールしやすいのだ。タイムは50秒352だった。