昨今のSUVブームに乗じて、ついにコンパクトSUVが登場! なんて言っていたのはもう昔の話。いまやそのコンパクトクラスが大人気で、次々と派生モデルが登場しているのはご存知のとおりだ。ここでは、クーペボディや3列シートといった個性的なキャラクターを纏った最新コンパクトを比較してみた。
メルセデス久々のブランニューモデル
いつのまにかSUV長者になっていたメルセデス、その第9弾がGLBである。車名のとおり、GLAとGLCのあいだに位置するコンパクト級だが、4640mmのボディ全長はGLAより18cm長く、GLCより3cmしか短くない。ホイールベース長もGLCに近い。1700mmの全高はいちばん高い。スタイリングもかつてのGLKを彷彿させるボクシーなものだ。さらにGLBのキャラを決定づけるのは、前後3列シートを備えること。輸入コンパクトSUVとしては初の7シーターである。
メルセデス・ベンツ GLB200d
床面からポップアップするサードシートは中央にカップホルダーを備える本格派(?)。だが、座面が低いので体育座り的なポジションは否めない。2列目をいちばん前に出してもらっても、膝まわりに余裕は少なく、大人用としては補助イスの域を出ていない。でも、リアドア開口部にはちゃんと169cmまでという“身長制限”が記してある。それ以上だと、ルーフや車内の部品と接触して怪我をするおそれがあるとトリセツにも明記される。こんな注意書きを付けたサードシートは初めてだ。いかにもまじめなメルセデスらしい。
試乗車は2Lクリーンディーゼルの200d(512万円)。とくにスポーティ仕立てではないこともあり、今回のQ3スポーツバック、X2と比べると、乗り心地のよさが印象的だった。足まわりの動きがいちばん“豊か”な感じがするのだ。エンジンは街中だとディーゼルとわからないほど静か、というほどではないものの、速度を上げればむしろ気にならなくなる。高速道路で遠出することが多い人にはうれしいSUVである。
ダッシュボードにはワイドスクリーンディスプレイとジェットエンジンのファンのようなエアアウトレットが並ぶ。現行Aクラス以来、おなじみの演出だが、どのメルセデスで見ても新築感は色あせない。音声入力でクルマとやりとりできるMBUXはもちろん、ひととおりの運転支援システムも標準装備だ。加えて、いざというときのプラス2シートも付いてくる。それで500万円ちょっと。メルセデスなのにコスパの高さも感じさせた。思わず「メルセデス、好きだよ?」と言ったら、「わからないでしょうが、赤面しています」という女声が返ってきた(実話)。