固定概念を覆すカブリオレの乗り味
E300は1800rpmから370Nmものトルクを発生するからE200から乗り換えると、たっぷりとした余裕を感じられ、贅沢な気分になる。モーターのアシストがないゆえか、あらゆる場面でリニアな感覚がありドライバビリティも一枚上手だ。4500rpm以上の高回転域は加速感、サウンドともに迫力があり、E200との差も大きい。この上には直6のE450もあり、またそれは別格だが、重量とのバランスやコストパフォーマンスを考えれば満足度はかなり高い。
クーペとカブリオレには70kgの重量差があるが、パワー&トルクに余裕があるので、それを如実に感じるというほどではない。それでもクーペでアクセルを積極的に踏み込んでいくと、ひと際鋭い加速と適度に引き締まったサスペンションで気分は高揚してくる。可変ダンパーにより、硬めだけれど乗り心地の悪化は最小限だ。
セダンに対してホイールベースが65mm短くなっていることもあり、ハンドリングはシャープだ。ステアリングを切り込めば即座にノーズが反応して曲がっていく感覚はスポーツカー顔負け。それでもスタビリティが高くて安心感もあるのがメルセデスらしい。
カブリオレもスポーティだが、それに加えて上質さが際だっていた。重たくなるからクーペに比べると全体的におっとりとした動きではあるが、ステアリング操作に対する正確性はむしろ上回っているほど。前後重量配分はクーペが53:47なのに対して52:48、ルーフを開けているとさらに後ろよりになって50:50に近づいていることが効いているのかもしれない。クーペほどのダイレクト感はないが、動きのスムーズさや素直さはカブリオレのほうが上手。明確にキャラクターの違いがあって、どちらを選ぶべきか悩ましいほどだ。