EVの比率は急上昇。ルノー・ゾエがEV首位を守るがID.3が5万台超えで急伸
2020年の欧州全体の新車販売台数(乗用車)は前年比24.3%減の1196万1182台と大幅に減少。すべての国、すべてのブランドで台数減となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響をしっかり歴史に刻む形となった。さらに罰金をともなうCO2排出規制が進められ、自動車メーカーは販売減に加えて規制強化に対応するための投資が膨らみ、業績の悪化も懸念されている。各メーカーの売上高や利益といった2020年の業績はこれから発表されるが、厳しい数字が並ぶことになりそうだ。
モデル別の販売台数では相変わらずフォルクスワーゲン・ゴルフが強く、2020年前半はソフトウェアのエラーにより納車が滞ったためにルノー・クリオに首位を奪われた月もあったが、7月以降は販売も安定して独走。終わってみれば欧州全体で31万2000台のゴルフが販売され、22万7079台だった2位クリオに8万台以上の差をつけて首位の座をキープ。2018年の約44万5000台、2019年の約41万台と比べると大きく減ってしまってはいるが、ベストセラーカーとしての存在感は失われていない。
一方で欧州市場全体のシュリンクが進むなか、電動化は着々と進んでおり、その動きは新車販売ランキングにもあらわれつつある。英国の調査会社JATOダイナミクスの集計によると、2020年に欧州23カ国(EU+英国+北欧など)で販売された電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)は約142万台となり、2019年のほぼ2.5倍に増加。欧州全体の新車販売が減ったせいもあり、全体の1割を超えている。
EVのモデル別ではルノー・ゾエが9万9261台で首位となり、2位にテスラ・モデル3が8万5713台で続き、3位にはデビューしたばかりのVW・ID.3が5万6118台でランクイン。2020年12月単月ではガソリン車、ディーゼル車なども含めた総合順位でもID.3はゴルフに次ぐ2位に入ってきており、EV上位のゾエとテスラを脅かす存在となることは確実だ。コロナ禍が収まらないなか、EVがどこまで伸びるかは未知数だが、市場を開拓したゾエに続く新世代EVが普及を後押しする可能性は高い。2021年、欧州の電動化進展は新たな局面を迎えることになりそうだ。