ドイツ車とフランス車の“壁”をどう見るか?
いっぽうのGLB200dは最新のコンパクトメルセデスらしく乗り心地は快適。こちらは2Lとなるディーゼルエンジンのパフォーマンスにも文句はない。ただし、急加速をしたときに中回転域でパワーがぐっと高まる点は、ドラマチックといえるかもしれないし、リニアリティが低くて扱いにくいともいえる。その影響で姿勢変化がときに大きく、これがハンドリングにも影響を与えることもごく小さな弱点ではある点を、リフター/ベルランゴとの違いとして指摘しておきたい。
インテリアはメルセデスらしく上質。しかも、GLBにはライバルにない3列シートが備わる。アクティブレーンキーピングやアダプティブクルーズコントロールの作動がスムーズで安心感が強いこともメルセデスの強み。音声認識を中心とするMBUXの仕上がりもライバルの追随を許さない。2台に比べて全高が15cm以上も低いため、コーナリングフォームが安定しているのがGLBの美点だが、同じ理由により室内高が25cm以上も低くなる点も忘れるわけにはいかないだろう。
率直にいって、乗り心地、内装のクォリティ、安全装備や便利装備の充実度ではGLBが2台を大きくリードしている。3列目シートを備えている点もライバルにはないアドバンテージだ。
対するリフターとベルランゴには安定したステアリング特性と優れたスタビリティがある。ドライバビリティに優れたパワートレインも魅力的。GLBより150~200万円安い価格を理由にリフター/ベルランゴを選ぶケースだって少なくあるまい。
ただし、ドイツ車の質感や装備の充実度など全方位のプレミアム性に慣れているジャーマン派には、フランス生まれの2台が物足りなく思えるだろう。いっぽうで、根っからのフランス車好きは、多少の不便には目をつぶってでも、リフター/ベルランゴのスタビリティやデザインのセンスを好むはず。
ドイツ車とフランス車の間には、相変わらず容易には乗り越えられない壁が存在するというのが、私の率直な感想である。
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