プジョー205は、1983年にデビューしたプジョーの小型3ドア・ハッチバックである。ピニンファリーナによる小粋なスタイリングと、後に追加されたカブリオレなどのオシャレ感などで人気を博し、日本でもプジョーの知名度とイメージを高めることに大いに貢献した。
この205をベースに1800ccツインカムターボ・エンジンをミッドシップに搭載し、4WD化したのが205ターボ16だ。連続した12ヶ月間に200台製造すればそれをWRC参戦へのベースカーと出来る、というグループB規定の中で製作されたもので、実際にWRCでは最強のグループBマシンとして大活躍を見せた。
WRCマシーンのキットをロードバージョンへ改造!
ここでご紹介する模型は、かつてタミヤから発売されていた同車ワークス仕様(’85年モンテカルロ/同アクロポリスの選択式)をベースに、市販車であるセリ200(ロードカー・バージョン)へと改造を行ったものだ。パッと見、WRC仕様と公道バージョンとの違いはあまりなく、内装の改造が主なところとなるのでは? とも思えるが、ことはそう簡単ではなかったようである。
実際に作業に入ってみると、分かりやすい違いであるサイドインテーク(縦状のフラップを追加)だけではなく、ルーフダクトにフロントアンダースポイラー、サイドスカートなど、改修すべき箇所は多い。また、WRCマシーンの一体化されたリアカウルと違い、ストラダーレではバンパー部分でカウルが分割されており、そのリアバンパー自体も形が違っている、という具合。
プラ板とパテで差異を逐一再現
フロント周りの改修は、まずスポイラーを切除し、開口部中央に入る横バーをプラ材で再現、公道仕様のスポイラーを目盛り付きプラ板で自作した。コーナー部分に補強としてプラ板を裏から貼り、目盛付きプラ板を大まかに合わせ、瞬間接着パテで裏打ち後、ヤスリで形状を削り出している。サイドスカートもほぼ同様にプラ板と瞬着パテで新たに造形、またサイドウィンドウの窓枠が競技車両では省かれているので、プラ材を貼り込んで再現した。
内装はほとんどが作り直し、エンジン部分もWRC仕様とは補機類の配置に違いが見られる。しかしエンジン周りについては目立つポイントのみを改修、それらしく仕上げた。
足周りには注意しよう!
作者曰く、最大の誤算は足周りとのこと。ラリーカーのベースマシンだからやや高めくらいで丁度良いと考え、ノーチェックで進めたもののいざ組んでみてびっくり、車高がcm単位で高い! タミヤ自慢の精密に設計されたダブルウィッシュボーン・サスペンションは、却って車高調整を行うだけの余裕には乏しかったようだ。サスペンションの根元をカットし、さらに取り付け位置自体も大きく変更。今後、絶対に足周りチェックはおろそかにしないと心に決めた、とのことである。