ビュイック

一見ただの地味なアメ車、でもこれがGM史上最速セダン!モノグラム製プラモ「1987年型ビュイック・リーガルGNX」【モデルカーズ】

アメリカ版「羊の皮を被った狼」

1973年に登場した、ビュイックのインターミディエイト、センチュリー。その最上級モデルとして生まれたのが、ビュイック・センチュリー・リーガルである。当初は2ドア・クーペのみであったが、後に4ドア・セダンを加え、名称も単にリーガルとなり、シリーズとして独立。1978年型においてモデルチェンジを行い2代目へと進化、センチュリーおよびリーガル(ひいては基本を共用するGM Aボディ車全般)は大幅にダウンサイズを行い、リーガルは再び2ドアのみとなった。ただし、後に4ドアは復活している。リーガルの基本コンセプトとしては特に走行性能を重視したモデルでは本来なかったのだが、1981年型で採用したスラントノーズは空力性能の向上をもたらし、NASCARレースでも有利に働いた。ついにはこの年のマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得するに至ったのだが、このイメージを用いてスポーティに装った限定車としてグランナショナルが登場している。そのファーストモデルは1982年型であったが、この時は黒づくめのボディではなく、シルバー/ブラックのツートンであった。1983年型で姿を消した後の1984年型で復活したのが、今も広くイメージされるブラック単色のグランナショナルである。搭載されるエンジンは231-cid(3.8L)のV6ターボ。1978年型からターボ自体は用意されていたのだが、新たにシーケンシャル・フューエル・インジェクション(SFI)などを採用し、200hpへとパワーアップを果たしている。このエンジンには1985年型でさらにインタークーラーが装着されて最高出力は235hpとなり、1986年型ではさらに245hpへと進化。そしてラストイヤーとなる1987年型で登場した“最強のグランナショナル”が、GNXである。

「GM史上最速のセダン」を目標にしたGNXは、マクラーレン・エンジニアリング(カナダのリナマー・グループのエンジニアリング会社)およびASCと共同開発された。エンジンにはセラミックタービン採用のギャレット製ターボチャージャーを装着、最高出力は276hpを発揮。ボディおよびリアサスペンションは強化され、ホイールは通常のグランナショナルの15インチに対し16インチとなり、トランスミッション・オイルクーラーも装着する。外観の特徴のひとつであるサイドルーバーは、アメリカ車によくあるダミーではない。

これらのセットアップによりGNXはSS1/4マイル加速12.7秒という記録を叩き出し、フェラーリやポルシェを上回る性能という評判も呼んだ。グランナショナルのテレビCMでは、「俺は骨の髄までワルなのさ」と歌われる、ジョージ・サラグッドの『バッド・トゥ・ザ・ボーン』が使われたということだが、ルックスのみのコスメティック・パッケージだったグランナショナルは、こうして「骨の髄まで」スポーツカーとして生まれ変わったのである。

モノグラムらしさ満開の良質なキット
さて、ここでお見せしているのは、このGNXを1/24スケールで再現したモノグラム製プラモデルの完成品だ。オリジナルは1988年リリースの2種のパッケージ(ともにNo.2765)と、やや大きめのハイパフォーマンス版(2784)で、どちらもグランナショナルのキット化だが、後者にはGNXのパーツが追加されていた。この2020年再販版(85-4495)はそれと同じ内容で、リーガル・グランナショナルとGNXのいずれかに制作が可能だ。30年以上前に作られたとは思えない良質な印象で、1980年代~1990年代初頭のレベルとの合併前、モノグラムらしさのピークと思える。おそらくプラモ開発に於いてCAD/CAMなど存在しなかった時代の、古き佳きメイドインUSAのアメリカンカープラモと言えるだろう。

作例ではGNXを選択、通常のグランナショナルと違うパーツはメッシュのホイールとタイヤ、後付けのオーバーフェンダーとサイドルーバー、リアサスに付くトルクバーとパナールロッドだ。バッジの違いはデカールで再現される。まず、塗装前にボディ前後のパーツを接着して一体化。これに伴いシャシーの前後と周辺を削り込んで、後からシャシーを組み込めるようにしておく。前後バンパーとオーバーフェンダーは塗装前に取り付けてしまうか迷うが、実車の画像を見ると、意外に「取って付けた」ようなイメージがある。ストックのリーガルでもバンパーは一体感に乏しい雰囲気があるので、オーバーフェンダーとバンパーは塗装後に取り付けることにした。従って、下地のうちにパーツのフィッティングはしっかりやっておくと良い。特に前後のバンパーは、型抜きのテーパーが強いのか、横方向にだいぶ大きい。幅を少し削って詰めておくと良いだろう。オーバーフェンダーのフィッティングは概ね良好だが、全体にやや内側に曲げて、裾の部分もボディ側に曲げておくと後で取り付け易い。ボディカラーはアクセルSのブラックをそのまま使用。いわゆる漆黒だが、僅かなキズでも目立つのでクリアコート後の磨き出しは丁寧に行った。

エンジン、足周り、インテリア等は特に問題なく組み立てられるが、シャシー全体がボディに対してやや後ろ寄りに付くようで、タイヤとフェンダーアーチの位置関係が不自然だ。シャシー内側とインテリアの干渉する部分を削って、シャシーがやや前に付くように調整。説明書にはトルクバーとパナールロッドの取り付け位置がないが、デフケースの周辺に取り付け孔やピンがあるので、取り付け位置は容易に発見できる。エンジンルームは必要充分なパーツ構成で密度感があるのでプラグコードを追加したのみ、他に手は加えていない。

インテリアは青みがかったグレーとオフホワイトの2色、シートとフロアは黒に近いグレーに塗り分ける。シートより先にサイドトリムを取り付けるとシートが入らないので注意。エンジンフードの「3.8 SFI TURBO」ロゴは凸モールドで再現されるが、デカールも付属する。作例は糊付きアルミ箔を貼り、文字の周囲を塗装して仕上げた。オーバーフェンダーと同じように、サイドルーバーもツヤを変えて塗装後に取り付けている。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.291より再構成のうえ転載
LE VOLANT web編集部

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