モデルカーズ

地味なグレード変更!地味だけどフル再現!アオシマ製BNR32から「R32型スカイラインGTS-4」を作る【モデルカーズ】

GT-Rと同じアテーサE-TSを持つGTS

7代目、通称“7th”のハイソカー路線の失敗から、8代目となるスカイラインはスポーツセダンとしての性能を磨き上げて登場することになった。日産が8代目スカイライン(R32型系)を発表したのは1989年のことだが、そのコンポーネンツは、同年に発売された6代目ローレル(C33型)、およびその前年デビューのニューモデル・セフィーロ(A31型)と基本を共用したものである。すなわち、RB型6気筒エンジンを搭載したFRのシャシーに、マルチリンク式サスペンションを採用したものであった。大きな違いは、ローレルとセフィーロではフロントサスペンションはストラット式であったのに対し、スカイラインはフロントもマルチリンク式であったことだ。ボディ形式は4ドアはセダン(サッシレス、つまりピラードハードトップ)のみ、そして2ドアクーペの2種類だけで、先代まであったワゴンの類は設定されず、後から追加されることもなかった。ボディサイズはホイールベースこそ変わらなかったものの、全長などはサイズダウンされており、操作性を重視したことが窺える。搭載エンジンは、4気筒のCA18も用意されたものの、基本はRB型6気筒がメインであった。のちに2.5Lも追加されたが、デビュー時は2Lのみ。登場当初の最強ユニットはツインカムターボのRB20DETで、最高出力は215PSである。R32型系での最大のニュースはあのGT-Rの復活であったが、その登場はモデルチェンジから3ヶ月遅れて1989年8月のことだった。そしてこの時併せて発売されたのが、今回の本題であるGTS-4だ。

これは、グレード名の通りGTSにGT-Rの4WDの足周りを組み合わせたもの。つまり、FRを基本とした4WDシステムであるATTESA(アテーサ)E-TSを、RB26DETTではなくRB20DETと組み合わせたモデルであり、GT-R同様に、前後輪への駆動トルクの配分を電子制御することによって、優れた操縦性を実現させていた。GT-Rは2ドアのみであったがGTS-4は4ドアにも設定、また5速MTだけでなく4速ATとの組み合わせも可能であった。さて、ここでご覧頂いているのは、このGTS-4の2ドアクーペを再現した1/24スケールのプラモデル完成品である。ただし、R32型スカイラインのプラモに詳しい人ならすでにお分かりだろう、この通りの内容のキットはどこからもリリースされていない。これはアオシマ製GT-RをベースにフェンダーをひっこめてGTS化を行い、タミヤ製GT-Rのシャシーとアオシマ製RB20DETを組み合わせてGTS-4のフル再現モデルに仕立てたという、手の込んだ作品なのである。

あくまでアオシマ製ボディを使って2ドア化
2ドアのGTS系はフジミのキットがあるのだが、この作品は敢えてアオシマをベースとした。同社製R32の形がお好みの方には参考になるだろう。写真のボディ2つのうち白い方がアオシマ製4ドア、黒い方がアオシマ製GT-R。リアフェンダーはRのものをそのまま利用、一旦ごっそり切り取り、約1mm引っ込むようプラ板を貼って再接合。隙間と段差を瞬間接着パテで埋めて成形する。ノーズはドアラインを境に入れ替え。Aピラーとフェンダーの分割線がRのボディにはないのでスジボリを追加、バルクヘッドはプラ板で自作した。

エアロパーツも4ドアから流用、フロントバンパーは形状が似ていなかったので修正した。フロントバンパー左右ダクトは前期ではメッシュが貫通しているが、後期ではメッシュのモールドの板となる。作例は後期型としたので、ハセガワのメッシュをプラ板に接着して取り付けた。キットでは再現されていないグリル部分はプラ板で自作。また、角目ライトを「死神GT-R」から流用するので、それに合わせてボンネットの先を左右それぞれ約1mm延長し、ライト上部も伸ばした。側面のプレスラインには瞬着パテを盛ってメリハリを強くする。

インテリアタブはタミヤを使うが、GT-Rのリアシートが一体成型されているので切除、アオシマ4ドアから移植。ドア内張りはアオシマGT-Rのパーツに入れ替えた。エンジンはアオシマ製RB20のヘッドカバーに合わせタミヤの部品を拡幅し合体。排気系は触媒部分をタミヤ製GT-R、サブとメインのマフラーはフジミ(不要パーツとして含まれるS13の部品)、パイプは曲がるプラ棒の組み合わせ。ラジエターもタミヤとアオシマの合体で、茶こしをバラした金網を取り付け。エンジンルームのディテールにはウェーブのパーツを使った。

シャシー裏面はできるだけGTS-4の様子を再現してみたが、まだ細部には違う部分があるかもしれない。燃料タンクはGT-Rのものは専用の大型タイプ(72L)なので、アオシマ製GTS-tのパーツに入れ替えた(実車は60L)。なおリアスポイラーは、作者の手元にジャンク品として残っていたフジミGTS-tのパーツを使用している。

作例制作=小田島俊介/フォト=服部佳洋 modelcars vol.270より再構成のうえ転載
CARSMEET web編集部

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