牧歌的な雰囲気のあるガレージは、クラシックワーゲン愛好家でもある建築家の自邸。
大切なクラシックワーゲンを収めるために築き上げたガレージハウス。ここで紹介させていただくのは「株式会社Remo 一級建築士事務所」の代表であり、建築家のIさんと奥様が手掛けられた自邸である。
お二人はこれまで、戸建てや集合住宅、店舗物件や家具、そして国内の案件だけでなく、海外からも建築デザインのオーダーも受けるなど、グローバルな活躍を見せてきた。そんなIご夫妻が理想を形に落とし込んだガレージハウスを拝見してゆこう。
これまではリノベーションした中古住宅で生活していたというIさん、その家には2台格納できるビルトインガレージが備わっていたが、それはガレージライフを楽しめるようなものではなく、あくまで”車庫”として使うためのものだった。
古くからクラシックワーゲンに親しみ、現在も複数台所有しており、広さ的にも余裕のあるガレージライフを送りたいと数年前から考えていたというIさん。生活圏内でよい土地がないかと探し始め、現在の場所にたどり着いたという。
牧歌的風景になじむガレージハウス
ガレージハウスの周囲は田畑に囲まれた牧歌的な風景が広がっており、しかもそれらは調整区域であるために、今後建築物ができることもない。
その環境を気に入ったIさん夫婦は土地を購入し、ガレージハウスのプランを練り始める。ご主人の担当するパートはガレージ、階段を含むエントランスホール、そしてウッドデッキ。それ以外は奥様が設計を担当した。
興味深いのは、Iさんはご夫婦で設計を行うのだが、ぶつかることなくどちらの意見も尊重したうえで素晴らしい作品を作り上げてきたということで、今回の自邸でもその結果が見事に表れていた。
ガレージを覗くと3台のクラシックワーゲンが余裕を持って収められていた。カブリオレ、カルマンギア、オーバルどれも良いコンディションで保たれており、しっかりと整備されていることが伝わってくる。
ガレージフロアはジャワ鉄平石!
特徴的なのは、床材に採用されているのが”ジャワ鉄平石”といわれる石材だということ。鉄平石というのは建築物の内外装用石材として古くから使われている素材であり、外構の石畳を作る際などにも用いられてきたものであるが、その多くは国産の石である場合が多い。
今回使われたのは、本場インドネシアのジャワ島から持ち込まれたものであり、模様や風合いに味があるものだ。
実はガレージハウスの設計を進めて、最後の最後まで決まらなかったのが、このガレージの床材だったそうで、セラミックタイルを張る案や土間コンクリートを磨いて仕上げることなども考えていたとのこと。
しかし、ガレージ前の外構を石畳とすることが決まっており、ガレージと外とのコントラストを強くつけるよりも、外から流れるような繋がりを持たせることで一体感を持たせようと考えて、サイズこそ異なるものの外構と同じジャワ鉄平石を用いることを決めた。
建築家の自邸までして決めることが難しいということからも、ガレージフロアの重要さを改めて知らされることとなったのだが、実際に石畳を敷いたガレージはクラシックモデル、特に欧州車には良く似合う。
目地部分は最初のうちは触ると白くなるが、それが徐々に取れてゆくとさらに落ち着いた表情となり、石にオイルなどが染み込んでゆくことも経年変化として楽しむことができる。
あえてそのように”育ててゆく過程”を楽しむことができるガレージフロアとなったのだ。
迫力の大開口ガレージドア!
床以外のガレージの見どころも紹介していこう。ガレージドアには「文化シヤッター」のフラットピットが採用されている。しかも最大開口幅の6mタイプで、ダイナミックな開閉を楽しめる。
そもそもリビング的にガレージを使おうという意図があったそうで、シーリングライトプロジェクターを設置するなど、ガレージにいる時間を快適に過ごすことができる工夫もされていた。
取材協力: 株式会社Remo一級建築士事務所
ガレージオーナーに聞きました!
◆一番気にいっているところは?
間口6mのオーバードア、石畳のフロア、プロジェクター。
◆ちょっと失敗したところは?
コンセントを数多く設置しておけばもっと便利だったと思います。
◆次の夢はなんですか?
ようやくガレージライフのスタートラインに立てたのでこれから楽しみます。
◆読者へのアドバイスを!
無難な仕様にすると後々飽きてしまうかもしれません。