国内試乗

【国内試乗】新型フェアレディZにテストコースで試乗!ハンドリングや乗り心地は「まったくの別物」と感じるほど大きく進化していた!

Z34のマイナーチェンジ版レベルをはるかに超えている!

次期日産「フェアレディZ」は、型式がZ35ではなくRZ34となる。つまりフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジという位置づけだ。

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その事実が明らかになった時点で、ユーザーや他の自動車メーカー関係者の中には「エンジンが3Lツインターボになるとはいえ、結局はZ34の改良版なのだから、走りの感じもZ34に近いのでは?」といった憶測が広がった。

果たして、本当にそうなのだろうか? 2022年7月中旬、日産の北海道陸別(りくべつ)試験場で、実際にRZ34を走らせてみた。結論から先にお伝えすると、RZ34とZ34は「まったくの別物」と感じるほど、ハンドリングや乗り心地に大きな違いを感じた。
日産はRZ34に「ダンス・パートナー」というキャッチコピーを付けているのだが、スピードリミッターが180km/hで効いた高速周回曲線路でも、独ニュルブルクリンクの周辺のカントリーロードをイメージして設計されたワンディング路でも、まさドライバーとZが共に踊っているような、本当にそうした感覚になった。
ステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトという操作に対して、RZ34の動きとの間が”とても密”な感触があるため、走行中の現状把握がやりやすく、さらにこれら起こるであろう”動きの先読み”が楽にできるのだ。

技術面で補足をすると、型式がZ35ではないということはプラットフォームはZ34を改良しているのは事実だ。日産が提示した資料によれば、車体前部の上部や前面、また車体後部ではタイヤハウスの下側と上側などで補強をしている。このうち、車体後部下側は、NVH(音・振動・路面からの突き上げ)に対してかなり効果的だという。
フロントサスのキャスターは「タイヤと路面との接地性を高めるため」として、Z34の6.5度から5.5度に変更。また、前後にモノチューブショックアブソーバーを採用し、パワーステアリングもラックアシスト式で電動化した。タイヤもフロントタイヤを幅広化した新開発としている。
エンジンは、「スカイライン400R」でも搭載する、VR30DDTT(V型6気筒3.0Lターボ)だが、オイルクーラーなど補器類などはRZ34用として改良。また、ターボの後部に取り付ける触媒を変更し、またマフラーの排圧を換えるなどの効果でトルクカーブに違いを持たせたという。
トランスミッションは6速MTがZ34用を改良し、チェックスプリング荷重を50%増としたり、シフトロッド溝のプロファイルを変更したことで、シフト前半の荷重をキープしたままシフト後半の吸い込み荷重を大幅に改善している。
ATについては、スカイライン400Rの7速から9速に変更して、さらにアクセル操作とトルクの出方を「かなり積極的なセッティングとした」(実験関係者)という。

このように、ハードウエアやソフトウエアで比較すれば、確かにRZ34はZ34の改良版であるが、運動性能を担当する中堅技術エンジニアは「モノが揃ってからが、このクルマの開発の勝負だった」と、これまでの開発プロセスを振り返る。
実験担当者も「モノチューブショックアブソーバーでは、初期試験用ではチューニングができても、量産に向けたプロトタイプでは同様の性能が出切らないことがあるなど、走りの熟成にはかなり時間をかけた」とも言う。

誤解を招かないように言えば、けっしてZ34やZ33が「ダンス・パートナーではない」、ということではない。ただし、RZ34の開発スタッフは、「クルマの性格」という点でZ34やZ33が目指してきた方向性とRZ34をしっかり分けて考えている、という事実がある。
その上で、RZ34開発スタッフは「Z-ness (Zネス:Zらしさ)」がぶれないよう、スタッフの間でかなり密に情報共有しながら、RZ34の走りを仕上げていった。
結果的に、実際に乗って走ってみると、RZ34はZ34やZ33とは”別物”に感じるほど、タイヤと路面との接地感が強い。この感覚は、市街地での普段づかいでも、はっきりと分かると思う。

フェアレディZのWEBカタログ: https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z.html

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

桃田健史

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