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ハイソカーブームの魁は、なんと私的な車だ!マイクロエース製プラモ「初代クレスタ」を細部まで研ぎ澄ます【モデルカーズ】

外観も内装も大きく差別化された新たな兄弟

思えばトヨタ・クレスタは、ハイソカーブームを盛り上げるために生まれてきたようなクルマであった。マークⅡやローレルが1960年代、チェイサーが1970年代の生まれであるのに対し、クレスタの誕生は1980年のことである。ここからして、クレスタが背負っているものには他のハイソカーと違いがあるように感じられるのだ。

【画像69枚】山崎努ばりのダンディズムを漂わせるクレスタとその制作過程を見る!

初代クレスタ(X50型系)は1980年3月に発表、翌月発売された。これは同年4月に新設オープンの、トヨタビスタ店における最上級車種として開発されたものである。今さら言うまでもなくクレスタはマークⅡ/チェイサーの兄弟車であるが、この2車のモデルチェンジは同年10月のことで、クレスタのみが先行してデビューした形である。新規車種として新鮮味を持たせるために必要な措置だったのだろう。

マークⅡとチェイサーには、4ドアのハードトップとセダンの、2種類のボディが用意されていたが、クレスタは4ドア・ハードトップのみ。この点に代表されるように、クレスタは他の2車より高級なイメージを纏わされていた。スタイリングも角目4灯ライトや太めのリアピラーが特徴で、共用するボディ外板はドアくらいであったようだ。ボディカラーにはグレー系のツートンなどを設定、この点でも高級感をアピールしていた。インテリアもクラウンに迫る豪華な仕立てで、ダッシュボードのデザインはクレスタ専用のものとなっている。

シャシーはもちろんFRレイアウトで、サスペンションは前ストラット/後セミトレ(下級モデルは5リンクのリジッド)。搭載エンジンは直6 SOHC 2Lの1G-EU(新開発)と、直4 OHV 1.8Lの12T-Uがあったが、デビュー翌年には直6 2LターボのM-TEUを追加、145psの最高出力を誇示し商品力アップを図った。

1982年8月にはマイナーチェンジで後期型(X60系)へと進化、フロントマスクは角目2灯+フォグランプとなってリフレッシュされた。また、このとき直6 DOHC 24バルブ2Lエンジンの1G-GEU(160㎰)搭載モデルを追加している。そして2年後の1984年にモデルチェンジ、2代目のX70型系へと変身。以後も三兄弟中最も高級なモデルというイメージをゆるがせることなく、ハイソカーブームを牽引していったのである。

ディテールをシャキッとさせれば今でも光り輝く傑作キット!
そんな初代クレスタのプラモデルは、前期型(GX51)がエルエスから1/20と1/24のふたつのスケールで当時リリースされており、のちに金型を引き継いだアリイ(現マイクロエース)から再販されている。特に後者は長らく入手容易であったが、現在は生産を休止しているようだ。なお、後期型(GX61)はフジミからキット化されており、また、アオシマから発売された「シャコタンブギ コマちゃんとちあきのクレスタ」は、マイクロエースのGX51にアオシマで新規パーツの前後バンパー等を加えたものである。

ここでお見せしているのは、エルエス/マイクロエースの1/24の方のGX51型を、細部に若干の手を入れて制作したものである。このキットは実車が新型だった当時の設計だけあって、当時主流だった国産カープラモのフォーマットに則り、モーター走行が可能なように設計されたもの。ただし室内は上げ底ではなくシートなどもひと通り再現されており、ボディラインも実車を良く捉えたものだ。

基本的にはキットをそのまま組めば良いのだが、金型の荒れなどのためモールドがハッキリしない部分もあり、また当時の考証にも緻密さに欠ける点が散見され、モーター走行やライト点灯のため再現性が犠牲になっている箇所もあるので、作例はそうしたところに手を加えて制作している。これらについては工程写真のキャプションを参考にして頂ければ幸いだ。ボディカラーは、上級グレードに設定されていたツートン(トヨタの呼称では「ファッションアベニュートーン」)を再現している。

作例制作=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.258より再構成のうえ転載

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