ポルシェ

ポルシェの伝統と革新のぶつかり合い! エンジン車とEVの2台巨塔「911GT3」と「タイカンターボS」が忖度なしのガチンコ対決、よりポルシェらしいのはどちらだ――⁉

ポルシェのタイカンで注目されるのは、スーパーハイパフォーマンスぶりだろう。トップモデルのターボSは最高出力761ps!それを迎え撃つのは、4L NAエンジンを搭載するロードゴーイングレーシングカーの911 GT3。どちらを選ぶべきか悩んでみたい。

【写真12枚】ガソリンとEV、どちらのスーパースポーツも捨てがたい。ポルシェ911GT3とタイカンターボSの詳細を写真で見る

長年鍛え続けられたポルシェのICE車

世界的な自動車の電動化の流れは、スポーツカーの世界でも変わらない。ポルシェはVWグループの一員であることもあって、2010年代初頭と早い時期からSUV系モデルとパナメーラに電動化モデルをラインナップ。2019年には、ついにBEVのタイカンを発売し、「ついにあのポルシェが!」と、世界中で話題となった。

そこで気になるのがこれだ。”ポルシェを買うなら最新のEVか、それともICE車か”である。長年鍛え続けられたポルシェのICE車が、素晴らしいことに疑いの余地はない。一方でタイカンも、一度ステアリングを握ってみれば実感できるが、明らかにポルシェのDNAを受け継いだクルマである。

今回は911のスポーティネスを極めたモデルであるGT3と、タイカンのトップモデルであるターボSを用意して、”現時点でどちらを選ぶべきか”考察してみた。

ポルシェの世界観をより濃密に体験できる

まずは911GT3だ。現行のタイプ992のGT3は、昨年2月に本国で発表され、日本では同年4月に受注開始。当初は同年5月にはデリバリー開始となる予定だったが、半導体不足などの影響で、日本上陸までに発表から約1年待つことに。

しかし待った甲斐はあった。出来栄えがとにかく素晴らしいのだ。新しい911GT3は、先代を10psと10Nm上回る、最高出力510ps、最大トルク470Nmを発揮する自然吸気の4L水平対向6気筒エンジンを搭載。トランスミッションは、今回試乗した7速PDKのほか、6速MTも用意される。駆動方式は後輪駆動で、0→100km/h加速は3.4秒、最高速度は318km/hに達する。数値はまさにスーパースポーツカーである。

自然吸気の4L水平対向エンジンは、ドライサンプや独立スロットルなどを採用したほぼレーシングエンジン。フロントにダブルウィッシュボーン式サスを採用したことで、高いキャンバー剛性や制動時のノーズダイブ抑制を実現した。

だが、スペック以上にドライビングフィールが素晴らしいのがGT3の魅力だ。基本設計がRSRやカップカーと共通の、獰猛なエキゾーストサウンドを響かせるフラット6は、極めて俊敏な変速を実現した7速PDKとの組み合わせで、アクセルペダルの動きに極めてレスポンス良く反応してクルマを前へ押し出し、凄まじいダイレクト感を感じさせてくれる。車両後部からガチャガチャと聞こえる機械音にも、思わずニヤリとしてしまう。またフロントサスペンションにダブルウィッシュボーンを採用したシャシーの出来も抜群だ。50km/h以下では前輪と同位相、80km/h以上で逆位相に最大2度操舵するリアアクスルステアと相まって、極めてアジャイルで正確なハンドリングと、路面に張り付いているかのようなスタビリティを実現。まさに自由自在な走りが楽しめるのである。

リアシートの省略やカーボンボンネット、軽量ガラス、カーボン製ルーフ(オプション)等によって実現した、911カレラより約100kgも軽い1435kgの車両重量も、確実に走りに大きく寄与している。9000rpmのレブリミットまで回さなくても、トラックモードに入れなくても、素晴らしく刺激的なドライビング体験が楽しめるのである。

【Specification】ポルシェ911GT3
■全長×全幅×全高=4573×1852×1279mm
■ホイールベース=2457mm
■車両重量=1435kg
■エンジン種類/排気量=水平対向6DOHC24V/3996cc
■最高出力=510ps(375kW)/8400rpm
■最大トルク=470Nm(47.9kg-m)/6100rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウィッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/35ZR20:315/30ZR21
■車両本体価格(税込)=22,960,000円

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2022年9月号より転載
竹花寿実

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