コラム

惜しくもノーポイントだったがまだまだシリーズタイトルはあきらめない!【BMW Team Studie監督「鈴木BOB康昭」のSUPER-GT参戦記】第5戦鈴鹿ラウンド編

スタートダッシュを決め順調にポジションアップしていくとに思えたのだが……

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけで復活したこちらの連載。今回は第5戦鈴鹿ラウンドの模様をお届けしたいと思います。

【画像96枚】性能調整に苦しんだBMW Team Studie M4GT3の第5戦鈴鹿ラウンドフォトギャラリーはコチラ

プロローグ

Rd.3で初優勝を飾った鈴鹿に舞い戻ってきた。このレースからシーズンは後半戦に突入。現在のシリーズランキングは4番手とまだまだチャンピオンを狙いにいけるポジションにいるので、ここからの闘いは一つも落とせないと、チーム一丸になって挑んだレースではあったのだが……。

8/27練習走行

アウガスト・ファルフス選手からの走り初めでスタートさせたが、やはり優勝した以前のRd.3との走りとは大きく異る。原因は前回にはなかった63kgのサクセスウェイトと、新たに追加されたBOP(性能調整)で+10kg、そして5,500〜6,500rpmというここ鈴鹿では最も使用頻度の高いエンジンのブーストを下げられてしまった事であった。両ドライバーからタイヤやセットアップについての意見が少ない。それだけマシンを遅く感じているのだ。

8/27予選

前戦同様Q1は荒選手が担当。ここまで過去4回の予選はすべて荒選手がQ1を担当し、一つ残らずベスト8以内に入り、Q2のアウガスト・ファルフス選手につなげてくれていたのだが、今回は前記した理由でマシンに全く速さが足りず12番手に沈み、残念ながらQ1で僕らの予選は終わってしまった。明日の決勝レースは、クラス総合23番手と今シーズンで最も悪いグリッドからのスタートとなる。

8/28決勝レース

前日よりも気温が上がった事で、何か好転することを祈りながら定刻14時30分に決勝レースがスタート。今回スタートドライバーを勤めたアウガスト・ファルフス選手が怒涛のスタートダッシュを掛け、わずか2周で5台をオーバーテイクして18番手になったところで、当初の作戦通りわずか3周でピットインしタイヤ交換と給油作業を行い、そのままドライバー交代はせずにピットアウト。今回のレースは二度のピットイン(給油)が義務付られているが、燃費に優れるM4GT3は1回のピットストップで充分最後まで走りきれるので、予選順位の悪さを取り返す為にもこの作戦を取った。

さぁ、巻き返すぞ!と気合いを入れ直した時にレース運営からの無線が入った。

「7号車、スタート違反によりドライブスルーペナルティです。」
頭が真っ白になった……。最高のスタートを切ったかに見えたアウガストのアクセルオンは、ヨーロッパのルールでセーフでもよりシビアな日本のルールではフライングを取られた。この話は事前にも注意はしていたのだが、もう何十年も身体に染み付いてるヨーロッパのベテラン選手には非常に多いミスであった。以前ヨルグ選手も同じミスをしていたのを思い出した。
これで25番手までポジションを落としてしまったが、勿論諦める事なく猛アタックを再開するアウガスト選手は、毎ラップ最低1台はオーバーテイクを敢行し、着実に順位をあげていった

24周目に再度ピットイン。これは予定より全然早いタイミングだったが、その理由はリアタイヤが持たなかったことだ。ここで荒選手に交代しフルサービスから猛追を開始、20番手前後までポジションを上げた所でセーフティカーが入ったので、そのタイミングで3度目のピットインでもう一度タイヤ交換と給油を行った。このセーフティカーは非常に我々にとって優位に動いた。ここから荒選手のオーバーテイクショーが始まり、最終的に12番手まで上がった所で450kmのレースはフィニッシュを迎えた。率直な感想としては、なんとかあと2台抜いて1ポイントでも取りたかった、と言う気持ちが全く思えないほど散々なレースであった。

1度のピットインでも走りきれるのに義務だからと早々と入れたピットも、終わってみればもう一回多い3度のピットインをしないと最後まで走りきれなかったし、アウガスト選手のスタートミスについても、直前にもう一回念を押すとか、もう少し強めに言っていれば防げたのかなどなど……、反省しかない。

たしかに先月中旬あたりから世界中でBMW M4GT3の戦績は落ちている。特に予選順位がみな下位に沈んでいる。勿論理由はBOP(性能調整)なのだが、その中でも何とか対策を考え一つでも上に向かっていかないといけないし、それを実行しない限りチャンピオンの獲得にはほど遠い。

今回のレースは、我々も含むシリーズランキング上位4チームが全車ノーポイントという非常に希有なレース結果となり、ポジションこそ6位に下がったがTOPとの得点差は変わらず、より今シーズンのチャンピオン争いが激化する結果となった。

次戦はRd.6 SUGO。非常にタイトでテクニカルなコースになるが、実は8月のFANATEC GT World Challenge ASIA CUPでM4GT3のレースを経験しており、非常にM4GT3との相性は良い事は確認出来ているので、なんとかここから盛り返したい。

僕たちは最後まで諦めません。本コラムの読者様もそしてファンの皆様も、どうか最後まで引き続き応援のほど宜しくお願い致します。M50の火はまだ消しません!

フォト=田村 弥/W.Tamura

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