モデルカーズ

カウンタックをさらに浮世離れ仕様に!アオシマ製プラモ「5000QV」をちょっぴり独自アレンジ!【モデルカーズ】

4バルブ化を実現した最強のカウンタック

1970年代後半、わが国を襲ったスーパーカーブーム。その中心的存在がランボルギーニ・カウンタックであった。そんなカウンタックは昨年、V12エンジン+マイルドハイブリッドのLPI800-4として復活。そのデザインはかつてのカウンタックを大いに意識したもので、カウンタックという名車が現在にも通ずる未来性を持つものであることを、如実に感じさせてくれた。実際に、カウンタックは16年にわたって生産された、息の長いモデルであった。

【画像62枚】ゴージャスに仕上がったカウンタックとその工程を見る!

カウンタックの直接の元となったのは、1971年に発表されたLP500というプロトタイプである。ミウラの後継モデルとして開発されたこのモデルは、ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニがデザイン。鋭利な刃物を思わせる強烈なウェッジシェイプが見る者を驚かせた。このLP500の細部を改め、1974年に市販されたのが、カウンタックLP400である。

カウンタックのシャシーは丸断面の鋼管による複雑なマルチチューブラーフレームで、アルミ製のアウターパネルを取り付けることで(ルーフやフロアなどは除く)、ボディは軽量に仕立てられている。トランスミッションとともに縦置きされるエンジンは3.9Lの60° V型12気筒DOHCで、最高出力375psを発揮。トランスミッションをエンジンの前方に置く独特のミッドシップレイアウトを採用し、パワープラント全体をコンパクトにまとめていた。このミッションから出力されたパワーは180°折り返して、オイルパンを貫くシャフトを通し、エンジン下に配置されたデフへと伝達される。

わずか1065kgのボディと、強力なV12エンジンとの組み合わせで、公称最高速度は300km/hに達したことも話題となったカウンタックだが、実際には10~20km/hの差でこの数値には届いてなかったという(自動車雑誌や個人の計測によりいくつかの実測値あり)。14年のモデルライフで最後のモデルとなった25thアニバーサリーでも、僅差まで詰めながら300km/hは実現できなかったようだ。この25thアニバーサリーの5.2Lエンジンは、1985年登場のカウンタック5000QVから搭載されるようになったものである。

カウンタックのエンジンは1982年のLP500Sから、4.8L(375ps)へと拡大されているが、5000QVのエンジンはこれをさらに5.2Lへと排気量アップしただけでなく、4バルブ化(クアトロ・バルボーレ=QV)も実現。キャブレターもサイドドラフトからダウンドラフトへと変更し、最高出力は455psに達したのである。25thアニバーサリーはこの5000QVをベースに、外観や装備を中心に改良したものである(1988年)が、エンジンは5000QVから変わっていない。

話を5000QVに戻すと、キャブレターがダウンドラフトとなったことでエンジン全高が増し、これをカバーするためエンジンフードが大きく盛り上がった形に変更されている。これによって、後方視界はさらに絶望的なものとなった。エンジンはキャブレター仕様だけでなくインジェクション仕様も存在。外観では、ブレーキダクトを設けたサイドスカートもオプションで装着されるようになったのが特徴であった。5000QVの生産台数は合計632台とされている。

アオシマ製キットをパールホワイト/ゴールドのカラーコーディネートで
あらためて言うまでもなく、カウンタックはプラモデルの世界では「超」がつく人気車種である。1/24スケールの世界では、ドア開閉やステア連動などを盛り込んだ伝説的名作の東京マルイ製を筆頭に、1/12なみの精密再現が売りのフジミ、そしてプロポーションの良さとモーター走行をバランスよく共存させたタミヤの3キットが長らく代表的な存在であったが、2010年にアオシマが新たにキット化。現代的な内容を持つ新しい名作として、その評価を確立させている。

アオシマのカウンタックはLP400を第1作として、LP500Rやウルフ・カウンタックなど数種類がラインナップされているが、ここでお見せしている作例は、その中のひとつである5000QVを制作したものだ。すばらしく良好なボディプロポーションや、必要にして充分なディテール再現、組み立てやすい内容と良心的な配慮(塗装時の破損防止用にダミーのウィンドウパーツが付くなど)といった充実の内容を持つアオシマのキットだけに、基本的には素組みとなっている。

という訳で、どんな風に仕上げるかが出来を左右するのだが、作者・渡辺氏がここで思い起こしたのは、実車現役当時はまさにバブル景気真っ盛りだったということ。当時の日本にはお金が溢れ、スーパーカーも夢ではなくなり、箱根あたりではスーパーカーの見本市のような状況……という当時の浮かれた世情を加味して、作者はバブリーな仕様として仕上げることを選択。外装とホイールカラーを特注仕様として(実際に出来たのかはわからないが)フィニッシュしている。

外装色はただのホワイトではなくパールホワイトとし、ホイールは実車資料で見かけたゴールド仕上げをチョイス。これによりゴージャス感がさらに盛り上がった。なお、センターキャップには牡牛のデカールも用意されているが、正確さを期すれば貼るべきところながら、あまりに小さく汚れのようにも見えてくるので省略したとのことだ。

作例制作=渡辺 剛/フォト=羽田 洋 modelcars vol.219より再構成のうえ転載

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