モデルカーズ

この色だよ、カッパーブラウン!アオシマ製プラモ「331型セドリック」を雰囲気良~くフィニッシュ!【モデルカーズ】

「ファッショナブル&ファンシー」のFタイプ

日産セドリックは1975年6月にモデルチェンジを行い、四代目・330型系へと進化した。先代で兄弟車となったグロリアももちろん新型に移行し、こちらは五代目となる。この330は、ヒット作であった先代230型系のコークボトル・ラインを受け継ぎつつ、よりデコラティブなボディラインとなったのが特徴だった。

【画像58枚】清々しい仕上がりの330とその制作工程を見る!

330のボディラインは、例えばハードトップのそれは1967-1968年型シボレーのそれを、フロントマスクは1971-1972年型フォードや1967-1968年型ダッジの造形を、それぞれ彷彿とさせるものである。セドリック・セダンのリア周り(逆L字テール)は、1960年代後半のポンティアックや1970-1971年型サンダーバードを参考にしたデザインであろうか。そうしたアメリカ志向の造形を日本の5ナンバー・サイズに違和感なく取り込んでいるあたりに、日産のデザイン力の高さが窺える。

一方、基本コンポーネンツは先代からのキャリーオーバーで、さほどの変更はない。レイアウトはFR、エンジンはL型6気筒が中心、サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後リーフリジッド。ほぼスキンチェンジと言ってよいが、先代との大きな違いは3ナンバー用のエンジンが2.6Lから2.8Lに拡大されたこと、そして昭和50年排気ガス規制に対応したデバイスが装着されたことの2点である。特に排ガス対策では車重の増加が著しく、動力性能の低下という影響が大きかった。

もうすこし具体的に述べると、エンジンは2L 4気筒OHVのH20(スタンダード用)、2L 6気筒OHCのL20、2.8L 6気筒OHCのL28、2LディーゼルのSD20(後に2.2Lに拡大)というラインナップ。ボディタイプは4ドア・セダン/4ドア・ハードトップ/2ドア・ハードトップ/バンの4種となり、先代まであったワゴンは廃止されている。当初は2ドア・ハードトップのみが角型2灯ライト、4ドア車はセダンもハードトップも丸型4灯ライトであった。

しかし登場1年目の1976年6月、角型2灯ライトを装着しボディ同色のホイールキャップを装着した「Fタイプ」が、4ドア・ハードトップに追加されている。これは4ドア・ハードトップの豪華版シリーズというもので、従来の丸型4灯ライト装備のカスタムデラックスやGL、SGLなどはそのまま存続されたが、このFタイプの印象がよほど強いものであったためか、330の4ドア・ハードトップ=角型ライトと記憶している人も少なくないようだ。このとき昭和51年排気ガス規制への適合も行われ、型式名が331へと移行している。

1977年6月ではマイナーチェンジを実施し後期型へ移行。フロントグリルやテールレンズなど細部のデザインが変更されたほか、2.8L車の最高グレード「ブロアム」が追加されている。これは2ドアと4ドアのハードトップ(Fタイプ)、そしてセダンの3種に設定されたもので、セダンでもホイールキャップがボディ同色となるがライトは丸4灯のままである。1978年11月には、53年排気ガス規制適合(型式名は332に)とともに、ブロアムと同等の内装などを持つ「SGL-Eエクストラ」を2Lモデルの4ドア車に設定した。そして1979年6月、モデルチェンジで430型系へと移行している。

足元、目つき、ボディ色……、お洒落は細部から!
330型系セドリック/グロリアの人気は、中古車となってからの方が高く、それを反映してか、プラモデルも1980年代に入ってから発売されている。アオシマの1/24スケールと、エルエスの1/20スケールである。これ以外には、アオシマにデフォルメものの可愛らしいキットがあった。アオシマの1/24キットは、同社の看板とも言えるチューニングカー・シリーズの一作としてリリースされたもので、4ドア・ハードトップのFタイプ、2000SGL-Eを再現している。

このアオシマの330は、族車や街道レーサーとして様々にアレンジしたキットを膨大に展開しつつ、ノーマル状態のキットとしても何度も再販されており、現在(2023年2月)も入手可能である。数年前にオーバーライダーやオーナメントのパーツが追加され、2800ブロアムへと改められているが、実際のところはフェンダーアーチモールやカウルトップルーバーのクロームの装飾などが不足しており、また内装も2000SGLE-のままなので、細部まで正確に再現されたものではない。

ここでお見せしているのは、このアオシマのキットを2000SGL-Eとして仕上げた作品である。アオシマの330はボディの幅が広く、またリアオーバーハングも少し短いのだが、そうした点には特に手を付けず、細部に配慮して制作している。ボディカラーは純正色のカッパーを、実車カラーチップに基づいて正確に再現。また、コロンとした印象のキットのタイヤは、アメリカ製キットのものに変更し、足元をしっかりとさせた。こうしたひと手間により、見違えるような仕上がりとなっているのが分かるだろう。

インテリアにも手を加えており、ドア内張りとシートの間にできる隙間は埋め、フロアも平らな状態へと修正している。キットのままだとダッシュボードの取り付け位置がかなり低いのだが、これも手直し。こうした加工のあれこれについては、制作過程の写真で詳しく説明しているので、じっくりとお読みいただければ幸いだ。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.205より再構成のうえ転載

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