デフやサスペンションを包む揺りかご
グンゼ産業(現GSIクレオス)ハイテックモデルのジャガーEタイプを組み立てていく当連載、フロントサスペンションの仮組みがおおむね形になったところで、4回目となる今回は、リアサスペンションに移っていきたいと思う。フロントがダブルウィッシュボーン+トーションバーとなるEタイプだが、リアはウィッシュボーン+ラジアスアームという形式である。
【画像24枚】実車の構造を再現すると組み立てが難しくなる…と実感させる工程を見る!
Eタイプのボディはフロントセクションのみチューブラーフレームで本体はモノコックであるから、リアサスペンションはボディ側へ直接組み付け、かと思うとそうではない。サスペンションもデフも、箱状のフレームに組み付けられ、これがボディへと取り付けられる、という形である。この箱状のフレームは、「クレードル・フレーム」とか、「リア・クレードル」などと呼ばれるようだ。クレードルとは「揺りかご」という意味である。
ハイテックモデルのEタイプでは、このクレードル・フレームをエッチングパーツで組み立てることとなっている。エッチングを折り曲げて箱状に組んだクレードルに、メタル製のサスアームやショックをリベットで留めて取り付けていく。1/24スケールで、実車のような組み立て手順を味わえるという、まことに有難くて涙が出てくる構成だ。
ちなみに同スケールの他のキットではどうかというと、エレールのEタイプも実車の構造ほぼそのままだが、クレードルは前後割りになっていて、これを接着するところからして大変。一方、近年リリースされたレベルのEタイプでは、かなり思い切った簡略化がされていて、これはこれで組みやすそうだが、実車の構造を理解できる構成にはなっていない。
「そろそろこれを作ってもいいかな……?」とキットを取り出してきて、「やっぱり大変そう……」と思わされたのは、実はこのリアサスペンションである。エッチングパーツは今までせいぜいエンブレムの類に使ったことがあるくらいで、それを折り曲げて組み立てる、というような作業は、ほとんどしたことがない。しかもそこにメタルのパーツを取り付けていく過程で、果たして歪まず組み立てられるのか? 考えると胃が痛くなってきたのであった。
元々あったパーツの欠けが不安の種!
しかし考えていても仕方ないので作業を始めてみると、意外となんとかなりそうである。ただし、心配なことがひとつある。実は、フロントサスペンションの開孔をしくじった(第2回参照)のと同じくらい、「作るのはもっと後にしとこ」と思わせた要素なのだが、コイルスプリング/ショックアブソーバーのパーツ4本のうち1本だけ、取り付け部が欠けているのである。これは自分の不注意によるものではなく、元々こうだった。このキットには検品票が入っていて、担当者の印が押されているのだが、「検品できてないやん……」と思ったものである。
この欠損については購入後すぐに気づいたものだが、部品請求するといくらになるか分からないし(説明書にはメタルパーツについては「お問い合せください」とだけ書いてある)、サスペンションは複数の部品が組み合わさって出来上がるので、この1ヶ所くらいは取り付けを省略しても組めるのではないかという気持ちもあり、放っておいたのだ。しかし、本当にそれで大丈夫なのか? どうにかしてパーツ取り付け部を再生しないといけないのではないか? 無事に形が出来上がったクレードルを前に、再び胃が痛くなってくるのであった。