2022年5月に発表されたマセラティのミドルサイズSUV、グレカーレの3モデルに試乗する機会を得た。エントリーモデルのGT から上位グレードのモデナ、そしてフラッグシップのトロフェオまで乗り比べた印象をお届けしよう。
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GTとモデナのどちらを選ぶかは悩みどころ
レヴァンテに続くマセラティのSUV第二弾となるグレカーレ。今回は上位グレードのモデナ、そしてフラッグシップのトロフェオを含めたフルラインナップ試乗会で、3モデルを試すことができた。
試乗前に行なわれたプレゼンテーションによると、グレカーレ目的でディーラーに来る約半数が新規の顧客で、しかも若い女性が多いという。このあたりはグレカーレのキャラクターが新たな人気を集めている部分と言えそうだ。
今回の3モデルのうち、最初に乗り込んだのはモデナ。パワートレインはGTと同じ2L直4ターボにマイルドハイブリッドとeブースターを組み合わせ、最高出力はGTよりよりも30㎰アップの330㎰を発生する。最大トルクは450Nmと同値だが、発生回転数はGTの2000rpmに対し2250rpmとなる。
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上質なレザーがあしらわれラグジャリーな雰囲気満点のコクピット。12.3インチのフル液晶メーターパネルに加え、センターコンソールには12.3インチと8.8インチのセンターディスプレイを搭載。
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後席スペースもクラス最大の広さで、スクエアな形状の荷室も使い勝手が良さそうだ。
その動力性能はスペック通りパワフルで、低中速域では期待以上の加速で2トン弱のボディを軽々と走らせる。これにはモーターによるアシストのeブースターも効いているのだろう。一方、エンジンサウンドもマセラティらしい味付けで迫力満点。とはいえ、さすがに4気筒ユニットゆえ官能的といえるほどではないが。
足回りは標準で可変減衰式のダンバーを装着するが、低速域では若干コツコツとした乗り心地が気になった。しかしハンドリングはクイックかつスポーティで、狙ったラインをトレースして行ってくれる。このあたりはマセラティらしさが存分に発揮されている部分といえるだろう。
次にトロフェオに乗り換えたのだが、走り始めてすぐさま、そのエンジンに度肝を抜かれた。最高出力こそMC20の630㎰よりデチューンされているものの、530㎰を発生する3L V6ツインターボ“ネットウーノ”ユニットの加速は凄まじく、大迫力のエキゾーストノートと相まって、SUVらしからぬ動力性能を披露。しかも走行モードがスポーツなら、アクセルオフした際に派手なバックファイア音を放つなど、気分を高揚させる演出も健在だ。
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マセラティ謹製の3L V6ネットウーノユニットは、最高出力530ps、最大トルク620Nmを発生。0→100km/h加速3.8秒、最高速度285km/hのパフォーマンスを誇る。
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カーボンのトリムに、レッドステッチが奢られたスポーティな印象のコクピット。
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足回りにはエアサスペンションが標準装着されていることで、走行モードがコンフォートであれば、路面の凹凸をうまくいなす快適な乗り心地である一方、スポーツでも意外なほど快適である。今回狭いワインディング路をドライブしたが、2m弱の全幅を感じさせることなく軽やかにコーナーをクリアして行けるのが印象的だった。
グレカーレのエントリーモデルとなるGTは、バランスの取れた乗り味が美点。試乗車はメカサス仕様であったが、動力性能をはじめ、ハンドリングや乗り心地までハイレベルな仕上がりであった。
最後に乗ったGTはコイルサス仕様だったが、固めの乗り心地を予想していたものの意外と快適で、コンフォートとスポーツのバランスが絶妙に取れている乗り味が好印象。エンジンも低中速域ではモデナとの出力差はそれほど感じられなかった。この辺りは高速域での伸び具合に違いが出てくるのかもしれない。
この3モデルのうち、トロフェオは別格として、価格差を加味すると、GTとモデナのどちらを選ぶかは悩みどころと言えそうだ。