Garage Life

好きな人だけに販売する! こだわりにこだわり抜いた、VWとミニ、スクーターのファクトリー。【ガレージライフ】

微笑みの国・タイ王国。経済発展を遂げた近代的なデザインとレトロデザインが融合した街並みが魅力だ。そんなタイ・バンコクにあるボディショップ、スクーターのディーラー「911ガレージ」を訪問。

“911ガレージ”と聞いて、日本の読者がまず初めに連想するのは「ポルシェ911のショップ」だろう。今回、お邪魔したのはバンコク市内からクルマで約60分、高層ビルがまだ建築されていないのどかな地域に、約16,000平米という敷地に約4,800坪の、空冷VWをはじめとしたミニやメルセデス・ベンツといったクラシックカーの販売、修理、レストアをするショップ『911ガレージ』を営むトン氏とナンさん夫妻のもとを訪問した。

そこで知ったのが、911の名前の由来。9というナンバーと11というナンバーはこの地区の住所であり、その2つを足しての911というネーミングが由来ということだった。なるほど。さて、日本のショップとはかなり敷地の規模が異なるこのショップは、日本をはじめとした各国からボディを購入してボディワーク、つまり鈑金するスペースを保有している。

ストックヤードには100台に近いクルマたちが、ボディワークを待っている。スタッフの賃金が日本ほど高くないタイ王国に置いて、クルマはすべて修理して乗ることが常識であり、輸入においてはクルマのパーツとして輸入したほうが税金が安い、というこの国ならではの理由も大きいようだ。そしてエンジンのメンテナンス、修理ができる工場も敷地内に併設し、敷地のセンターにあるショップでパーツの販売などの接客や電話の対応を行っている。

【写真16枚】バンコク郊外のクラシックカー専門店の全容を解明! 

センターにあるハウスは、7年前に購入したときはRC造の住宅だったという。その住宅を6年前リノベーションして現在のショップの姿になったという。リノベーションの作業も約20人いるスタッフが力となり、柱を残してスケルトンとしハンドメイトで壁面を増強したり、ドアを造作したりとし現在のようなスタイルを築いている。建築当時はショップと、レストランの開業を目指していたがあまりにも自動車の仕事が多忙となりレストランの開業は断念。今から2年前にイギリスのスクーター・メーカー「Scomadi」の販売代理権を獲得しバイクの販売をするショップとしてVWショップと併設させた。

敷地面積4,800坪、巨大なクルマのファクトリー。
Scomadiは2005年に誕生したイギリスのメーカーで、レトロスタイルのスクーターが人気。タイ王国においてはバイクを乗る人口も多く、125ccのエンジンを搭載したスクーターを新車で販売している。現在は世界19か国で販売されているが、タイ王国においてすべて生産され、タイ王国での販売の権利を911ガレージが取得。現在タイ王国・国内には24店舗の販売拠点があるというから人気のビジネスを営んでいるといっても過言ではない。レトロなスタイルのスクーターと、クラシックカーとの相性もよくクラシックカーオーナーからの要望も少なくないようだ。

そのようなビジネスを営むトン氏とノンさん夫妻のビジネスの拠点が911ガレージであり敷地内には、一緒にビジネスをしている仲間の住まいもあるなど、日本の自動車業のビジネスとは違うスタイルも見受けられる。ただし、彼らは世界のVW をはじめとしたイベントに足を運び、自分達で情報を収集してお客さんたちに情報を出している。なぜならトン氏が15歳のときから好きだったVWたちに囲まれて仕事するのが夢だったことが大きな要因で、現在も広告は一切せず、口コミだけでクルマを販売している。

将来はビルを敷地内に建築して、そのなかでいろいろな機能を統合することでスタッフの移動時間を減らしたいとも考えている。その理由は、敷地が広すぎて、移動の時間がロスにつながるからだそうだ。趣味が合う方にはめちゃくちゃ刺さるであろうショップ・911ガレージ。まだ、未開の国にはこのようなショップが多くあるのだった。

◆「911 garage」
 営業時間:8:30-19:00 phone/096-957-9911
 address/9-11 Bangwak Rd,Bangwak 83 , Klong Kwang Bangkok,Thailand ,10160

『GarageLife Vol.74』掲載

photo/Mr.SUPECHAI RODPRAJONG text/Jun-ISHIHARA(石原 淳)

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