フォルクスワーゲンのBEV、ID.4を駆ってロングランへと出かけた。ICE車に比べロングランは不向きと言われるBEVだが、最新のBEVに至って一概にそうとも言えない。実際に東京~仙台を走ったその模様をリポートしよう。
途中充電なしでのロングランに挑戦
フォルクスワーゲンが2022年より、国内初となるBEVとして展開しているID.4。同車の2023年モデルの大きな変更点として、走行可能距離の伸長が挙げられる。搭載されるバッテリーの容量はProで77kWh、Liteで52kWhと、2022年モデルと同じであるが、走行可能距離は前者で561kmから618kmに、後者は388kmから435kmに伸びた。減速時のブレーキ制御を改良することで、より多くのエネルギー回収することができるようになり、この延伸が実現できたという。
今回の試乗では、その両モデル(Pro)をロングランで乗り比べ、進化のほどを体感しようというものである。目的地に選ばれたのは宮城県仙台市。スタート地点である東京都品川区からは約400km弱ほど、カタログスペックを信じるなら、道中での充電はなしでも余裕でたどり着ける距離だ。
試乗初日は2022年モデルに乗り込む。スタート時のSOC(バッテリー充電率)は100%で、メーターに表示された走行可能距離は437kmだった。
午前9時半にスタートし途中、いくつかの観光スポットを回りつつ、常磐道経由で仙台に到着したのは午後5時ごろ、SOCは9%を指示しており、2022年モデルでもギリギリではあるが、なんとかたどり着くことができた。
2日目は2023年モデルに乗り込み東京を目指すが、撮影のために蔵王エコーラインを経由した。流石に標高1750mまで登ったのは厳しかったようで、道中1度充電を行なった。とはいえ、昼食の際に立ち寄ったSAで「ついで」に充電を行なったので明確なタイムロスが発生した、という感覚は皆無。世間で言われるような「BEVは遠出には不向き」という風潮は既になくなりつつある。
【Specification】フォルクスワーゲン ID.4プロ(2023年モデル)
■車両本体価格(税込)=6,488,000円
■全長/全幅/全高=4585/1850/1640mm
■ホイールベース=2770mm
■トレッド(前/後)=1585/1570mm
■車両重量=2140kg
■モーター形式/種類=EBJ/交流同期電動機
■モーター最高出力=204ps(150kW)/4621-8000rpm
■モーター最大トルク=310Nm(31.6kg-m)/0-4621rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=77kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=618km
■サスペンション形式=前:マクファーソンストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ドラム
■タイヤ=前:235/50R20、後:255/45R20
■公式ページ=https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/id4.html
問い合わせ先=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン TEL0120-993-199