カーエレクトロニクス

エキゾーストシステムとエアロパーツのスペシャリストが持つ最高峰の技術!「アクラポヴィッチ × BMW M2」

スロベニアに生まれ世界を代表するエキゾーストメーカーへ。そんなアクラポヴィッチは、内燃機関が逆境を迎えている今もなお、ただひたすら未来を見据えて成長を続けている。アクラポヴィッチのストロングポイントはどこにあるのか。発売間もないG87型BMW M2用エキゾーストを通して探る。

Akrapovic d.d./オートバイライダーだったイゴール・アクラポヴィッチが、己の欲するエキゾーストシステムを製作したところから始まり、今では2輪、4輪ともに世界最高峰のエキゾーストメーカーとして認知される。東欧スロベニアを代表する国際企業である、本社ファシリティは2万5000㎡もの敷地面積を持ち、1750名以上のスタッフが従事する。

内燃機関(ICE)の終焉が現実味を帯びている。果たして完全にBEVへと移行するのか。それには諸説あるものの、少なくともICEのシェアが減っていくのは間違いなさそうだ。内燃機関に依存するパーツメーカーにとっては逆境が吹き荒れる最中だが、しかし、スロベニアにある世界最高峰のエキゾーストメーカーは、そこに悲観することはなく、ただ真っ直ぐ未来を見ている。

スリップオンラインはカーボン製テールパイプセットの装着が前提となる。

「シティコミューターはBEVが効率的でしょうが、グランツーリスモやスポーツカーに内燃機関の役割は残されていると考えます。しかしそれでも環境対応性能は無視できない。自動車の開発は1kg、1gを落とすのに相当の努力とコストが必要です。我々の強みはその重量を落とせること。内燃機関の熱効率を最大化できること。それは環境対応性能向上に際して有利に働くでしょう」

八角形形状のほかに、クラシカルな丸型から選べる。さらに出力性能を追い求めるのなら、エボリューションリンクパイプセットやダウンパイプなども存在する。

と、アクラポヴィッチの創業者であり象徴的存在であるイゴール・アクラポヴィッチ氏は、2019年の段階でそう話していた。そして、今や1750名近くが従事するというスタッフの誰もが、それを信じて製品拡充を続ける。もちろん「顧客が求めるパフォーマンスアップのため、より官能的なサウンドのため」が前提である。

一例として発売間もないG87型BMW M2をもとに、アクラポヴィッチの魅力をさらに掘り下げたい。設定されるのはエンド部分のみを置き換えるスリップオンラインが軸となる。フルチタン製であり、そこにカーボン製のテールパイプが添えられている。チタンもカーボンもすべて自社設計、生産を貫くのがアクラポヴィッチのこだわりだ。数多とあるチタン合金を選定し、それをキャスティング(鋳造)、さらに溶接を駆使して仕上げるチタン成型技術は、アクラポヴィッチがもっとも得意としていること。それは数多くの自動車メーカーやワークス系レーシングチームに認められ、ハイエンドモデル、スーパースポーツに対して純正供給する例も多い。今では自動車業界を飛び越え、医療機器業界や航空宇宙産業からも声がかかるようになった。

スリップオンラインを装着したG87型BMW M2。本文で触れた出力性能アップおよび軽量化が、如実にその差を訴えかける。また大音量に頼らず“ 音質”でドライバーを官能へと誘う。チタンエキゾーストやカーボンテールなどまるで芸術品のように美しい仕上がりだ。

G87型M2はもともと最高出力328kW(460ps)、最大トルク550Nm(56.1kg-m)という強心臓の持ち主だが、アクラポヴィッチに置き換えると、さらに+3.9kW、+13.5Nmものオントップが見込める。軽量性能にも秀でていて、純正比で7.3kgも軽くなる。エンジンの効率アップと軽量化はこうした数値的性能として約束される。さらに音量に依存する迫力ではなく、音質を追い求めるがゆえの心地よいサウンドも見逃せない。

軽量化を含めた効率アップという意味では、アクラポヴィッチは次のステージへと進出してもいる。それは持ち前のチタン&カーボン成型技術を活かしたエアロダイナミクスパーツだ。G82/G80型BMW M4/M3から始まったカーボンリアウイングが、G87型M2にも設定された。「ダウンフォースを筆頭として、空気と向き合いながら効率的に速く走らせるためには、エキゾーストシステムだけでは役不足。だからこそエアロダイナミクスパーツへと挑戦しました」と首脳陣は語る。

それがダウンフォースであれ、排気効率であれ、流体力学にまつわる最高峰の技術をアクラポヴィッチは持っている。それを供給するエキゾーストシステムやエアロパーツは絶大な説得力がある。時代がどううつり変わろうとも、アクラポヴィッチの“流体力学”は不滅であり、それは世のカーフリークを満足させるに違いない。もちろん、そこには環境対応性能という社会的意義が伴っている。

近年はエキゾーストの範疇を飛び越えてエアロダイナミクスパーツの開発にも乗り出した。現在、G87型M2のほかG80~82型M4/M3のカーボンリアウイングが発売された。またエキゾーストシステムと見事なまでに調和するカーボンリアディフューザーもある。

【PRICE LIST】AKRAPOVIC for BMW M2(G87)
■スリップオンライン/851,400円
■テールパイプセット/339,900円(八角形)/314,600円(丸型)
■エボリューションリンクパイプセット/270,600円~
■ダウンパイプ/380,600円~
■リアディフューザー/279,400円~
■リアウイング/713,900円
■フィティングキット/25,300円
■サウンドキット/91,300円

M2の兄貴分であるG80~G82型M4/M3にもスリップオンラインが設定される。M2用とほぼ同じ構成ながら、もちろん車種別専用設計。G82型M4の場合、最高出力8.0kW、最大トルク13.9Nmのオントップが見込める。

問い合わせ先=橋本コーポレーション TEL075-761-7351 https://www.h-c.co.jp

リポート=中三川大地 フォト=AKRAPOVIC/神村 聖 ル・ボラン2024年2月号より転載

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