××年前の今日…

”レーシングマシンのエンジンを搭載”、あの名車「スカイラインGT-R」発売さる!【55年前の今日、こんなことが…】

”多くの新機構を採用した超A級のスポーツ車”

この記事の公開日は2024年2月21日。今から55年前の今日――すなわち1969年2月21日に発売された名車をご存じであろうか? 4ドア・セダンのスカイラインGT-R、PGC10である。

【画像15枚】もはや伝説、最初のGT-Rの雄姿を見る!

1965年、プリンス自工を日産が吸収合併したことにより、プリンス・スカイラインも日産の車種となった。このスカイラインが日産の元で初めてのフルモデルチェンジを行い登場したのが、三代目・C10型系である。まず1500ccの4ドア・セダンとバン、ワゴン(エステート)という布陣で、1968年8月に発売された。先代におけるS54A型(GT-A)の後継モデルである6気筒バージョンは、2000GTの名で同年9月に遅れて追加されている。

一方、S54B型(GT-B)は、レース用のベースモデルという性格が色濃いモデルであり、GT-Rはその後継として、すでに1968年のうちに発表されていた。同年10月に開催された第15回東京モーターショーで、その初公開がなされたのである。ただしこのときはGT-Rというモデル名はなく、「R380のエンジンを搭載したスカイライン2000GT」という触れ込みであった。この時点で「発売は明春の予定」とされていたのだが、その言葉通り、スカイライン2000GT-Rは1969年2月21日に発売されたという訳なのである。

よく知られている通り、スカイラインGT-Rに搭載されたS20は、レーシングプロトR380のエンジンGR8そのままでも、そのデチューン版でもなく、新規に設計されたユニットであった。直列6気筒DOHC 24バルブの2Lという点が共通しているだけであるが、日産ではR380用エンジンの改良版という言い方をしていた。

具体的な説明としては、「多球形式燃焼室、わが国唯一の4バルブ、V型弁配置、クロスフローポートを持つアルミシリンダーヘッド」「クランクシャフトは7ベアリング方式でわが国唯一のサイドボルト式シリンダーヘッドとあいまって、高速耐久性は抜群」「わが国初めてのフル・トランジスター式点火装置の採用」「キャブレターはソレックス各気筒独立2連3装式」「エキゾーストマニホールドは排気効率のよいステンレス製のレーシングタイプ」といった特徴が挙げられており、最高出力160ps/最大トルク18.0kg-mとされている。

サスペンションは2000GT同様に前ストラット/後ろセミトレーリングアームであるが、ブレーキはフロントに大型ディスクを採用。トランスミッションはポルシェタイプ・シンクロメッシュの5速、レース走行を考慮して大型(100L)の燃料タンクが装備される。このほか、ロープロファイル・チューブレス”H”(ハイスピード)タイヤ、ノンスリップデフを具え、またコラプシブル・ステアリングがオプション設定されている。

省略された装備と豊富なレース用オプション
オプションといえば、あまりに有名な逸話であるが、GT-Rではラジオやヒーター、時計も標準では装備されず、オプション扱いであった。このほか一般オプションとしてはマスターバック、ステアリングロック、ワイド型ルームミラー、フォグランプ、アシストグリップなどを用意。レースやラリーのためのオプションとしては、専用のピストンやカムシャフト、エキゾーストマニホールド、オイルクーラーのほか、ウェーバーあるいはソレックスのキャブレター、さらにはシャシー関連のパーツまでが豊富に準備されていた。

GT-Rそのものに話を戻すと、外観は2000GTとほぼ共通であったが、エンジンフードのセンターモールやオーバーライダー、サイドシルモールなどの装飾的要素が省略されている。何より目につくのは後輪のホイールアーチで、レース用タイヤの装着を前提に拡大されており、そのためスカイラインの特徴であるサーフィンライン(リアフェンダーのプレスライン)が途中で断ち切られた格好となっている。随所に配されたGT-Rエンブレムの赤色は、先代スカイラインのGT-Bから継承したものであった。

インテリアも基本的には2000GTと似たものであるが、フロントシートは本格的なバケットタイプとなり(運転席のみヘッドレストを標準装備)、ステアリングホイールやシフトノブはウッドのものを装着、大型のタコメーターやセンターコンソールなども備わっていた。当時の各地区での価格は、札幌:157.1万円、東京・名古屋・大阪:150万円、福岡:152.1万円であった。

LE VOLANT web編集部

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