メルセデス・ベンツ

【海外試乗】大幅改良でライバルを引き離す究極のコンフォートSUV「メルセデス・ベンツ GLS」

GLSは大人7名がゆったりと乗車できるゆとりあるボディサイズに優れた走行性能を備えたメルセデスの最上級SUV。今回は改良型のGLSを北アフリカのモロッコで試乗する機会を得たので、第一印象をお届けしたい。

路面が悪くてもフラットで快適な乗り心地を実現

本国ドイツでは2023年4月に発表され、日本市場でも同年12月に発売された新型メルセデス・ベンツGLSおよびメルセデス・マイバッハGLSに、北アフリカのモロッコで試乗するという、とても貴重な機会に恵まれた。
新型は全車がISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を備えたマイルドハイブリッドとなった。またMBUXにはMBUX ARナビゲーションを標準装備。オフロードモードで使用できる、トランスペアレントボンネットも全車標準となっている。

AMG GLS 63 4マチック+は、フルサイズSUVとは思えないほど、ダイナミックな走りが楽しめた。乗り心地はハードだがワインディングロードでの安心感は抜群だ。

アルジェリアとの国境に近いハシラビードという街から、最初にステアリングを握ったのはGLS580 4マチック。517ps/730Nmを発揮する4L・V8ツインターボに、22ps/250NmのISGを備えたモデルである。
モロッコの道は舗装が悪く、ほとんどフラットダートの様相を呈していたが、前方の路面をスキャンしてスプリングレートと減衰力を制御するEーアクティブボディコントロールが、素晴らしくフラットで快適な乗り心地を実現。スポーツモードでも十分快適で、未舗装路でもコンフォートモードなら乗り心地は申し分ない。

サハラ砂漠北端のメルズーガ大砂丘の前に並ぶマイバッハGLS 600 4マチック(右)とGLS 580 4マチック(中央)、GLS 63 4マチック+(左)。未舗装路での優れた走破性と快適性はGLSの真骨頂だ。

午後はマイバッハGLS600 4マチックを試乗。内外装が広範囲に専用デザインとされ、個性的な2トーンのボディが目を引くこのモデルは、後席も専用のキャプテンシートで、乗車定員は4名。どの角度から見てもラグジュアリーな雰囲気に溢れている。

新型は対話型インフォテインメントシステムのMBUXに、新たにMBUX ARナビゲーションを搭載。

走り出した瞬間から、まるで違う静粛性レベルに驚く。乗り心地も圧倒的だ。専用の「マイバッハコンフォートモード」を選ぶと、後席の乗り心地がさらに向上。やはり後席にプライオリティが置かれたモデルなのだ。だが運転席でも、これを超えるSUVは存在しないのではないかと思えるほどの仕上がりに恍惚としてしまう。

翌日は、まずAMG GLS 63 4マチック+で、ダデスという街からアトラス山脈を目指す。ルートは舗装されたワインディングロードとオフロード。612ps/850NmのAMG製4LV8ツインターボに22ps/250NmのISGを組み合わせたこのモデルは、引き締まったシャシーと高性能でレスポンシブなパワートレインが、ハイパフォーマンスバージョンに相応しいダイナミックな走りを披露。AMGの名に恥じないスポーティネスをしっかり備えている。

最後はGLS 450d 4マチック。367ps/750Nmの3L直6ターボに20ps/200NmのISGを組み合わせたこのディーゼルモデルは、非常に印象深い移動体験を提供してくれた。
力強く滑らかな加速と毛足の長い絨毯のような優しい乗り心地。言われなければディーゼルと気づかないほど優れた静粛性。見事に調和の取れたハンドリング。GLSというフルサイズラグジュアリーSUVの美味しいところを、すべて引き出している。

360度カメラを用いてオフロードでボンネット下部の映像を作り出すトランスペアレントボンネットも全車標準となった。

今ではBEVのEQS SUVが存在するものの、GLSもまだまだその魅力は薄れていない。それどころか、これぞラグジュアリーSUVという完成度である。手に入れれば、必ず豊かな気持ちになれるはずだ。

マイバッハGLS 600 4マチックは、内外装の広範囲に専用デザインが施されている。

クリスタルホワイト/シルバーグレーのナッパレザーインテリアも専用。

ファーストクラスパッケージ装着車は乗車定員が4名となる。

【SPECIFICATION】メルセデス・ベンツ GLS580 4マチック・スポーツ
■車両本体価格(税込)=20,300,000円
■全長×全幅×全高=5210×2030×1840mm
■ホイールベース=3135mm
■トレッド=前:1705、後:1725mm
■車両重量=2690kg
■エンジン形式/種類=177/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=83.0×92.0mm
■総排気量=3982cc
■最高出力=517ps(380kW)/5500rpm
■最大トルク=730Nm(74.4kg-m)/2250-4500rpm
■モーター形式/種類=EM0014/交流同期電動機
■モーター最高出力=16ps(10kW)/900
■モーター最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/500
■燃料タンク容量=90L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=7.2km/L
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前:4リンク/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:285/45R22、後:325/40R22

【SPECIFICATION】メルセデス・マイバッハGLS600 4マチック
■車両本体価格(税込)=32,200,000円
■全長×全幅×全高=5210×2030×1840mm
■ホイールベース=3135mm
■トレッド=前:1670、後:1725mm
■車両重量=2810kg
■エンジン形式/種類=177/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=83.0×92.0mm
■総排気量=3982cc
■最高出力=557ps(410kW)/6000ー6500rpm
■最大トルク=770Nm(78.5kg-m)/2500-4500rpm
■モーター形式/種類=EM0014/交流同期電動機
■モーター最高出力=16ps(10kW)/900rpm
■モーター最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/500rpm
■燃料タンク容量=90L(プレミアム)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前:4リンク/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:285/40R23、後:325/35R23

フォト=メルセデス・ベンツAG ルボラン2024年7月号より転載
竹花寿実

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