アウディ

【比較試乗】日常使いのアシだからこそ、コンパクトSUVにスポーツカーのアクセントを!「アルファ・ロメオ・トナーレ vs アウディ・Q2」

イメージとしては、イタリアのアルファ・ロメオは情熱的、対してドイツのアウディはクール。ただ、両車ともスポーティな走りを追求するブランドでもある。では一体それぞれのアプローチにはどんな違いがあるのだろうか?

アルファ・ロメオ初のプラグインハイブリッド

コンパクトクラスのSUVは個人的に“許せる”唯一の背の高いモデルカテゴリーだ。SUVに乗るメリットとは、究極的に言って“運転のしやすさ”に尽きる=それ以外に街で積極的に乗りたいと思う理性的な理由が見当たらない、というのが私見なので、わざわざでっかいSUVに乗って重量割の環境性能をアピールするような愚の骨頂は願い下げである。

ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE/アルファ・ロメオ初のプラグインハイブリッドとしてトナーレに追加されたモデル。最大で72kmのEV走行が可能となる。ドライバー中心のコクピットには、12.3インチのアルファ初となるデジタルクラスターメーター採用。ブラックを基調とした上質なインテリアにはレザーシートが標準装備。

というわけなので、今回の企画に登場したSUVたちが実はパーソナルチョイスの最大限だったりする。ICEにBEV、ハイブリッドとパワートレインも色々あったなかで、アウディQ2とアルファ・ロメオ・トナーレはある意味、対極的な2台だった。

まずはモデル的に新しいトナーレから。取材車のグレードはなかでも評判の良いプラグインハイブリッドのQ4ヴェローチェだった。

ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE

正直に言ってトナーレはこのグレードになって初めて古くからのアルファファンにとっても納得できる“ロメオ”になったのだと思う。蛇エンブレムにこだわりの強いファンにとって“ロメオ”といえば走りの良いイタリアンコンパクトカーの代表格。それを“アルファ”と言ってしまうとモデル的にも随分と新しくなって、“格好良さ”や“個性”といったデザイン的なアピール度が増すように思う。たとえるなら“アルファ”がプレゼンテーションで人を惹きつける流行りのリストランテ、“ロメオ”は盛り付けよし味で勝負のオステリアだ。

ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE

トナーレPHEVにはアルファ+ロメオらしさがあった。そもそもデザイン的なことを言えばコンパクトながら他ブランドとの差別化も秀逸なところがトナーレの魅力で、端的に言って“かっこいい”と思わせることがお上手。そこにモダンアルファ・ロメオの特徴ともいうべき機敏なハンドリングと、力強い加速アピールとが加わって、古くからのファンも納得の走りを実現したというわけだった。

ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE

実際、トナーレのハンドリングはFFベースでありながら、FRのジュリアやステルヴィオの路線をしっかりと継承している。ステアリングは“わかっていても”思いのほかクイックで、グイグイと内を向きたがる。そこで怖気付くことなく付き合えば、動きが正確で手応えもしっかりとあるから、“ハンドリングを楽しむ”という領域にたやすく入っていける。そのこと自体が良いか悪いか、つまり売れるか売れないかは別の論議が必要だけれども、とにかくモダンアルファ・ロメオの個性を、デザインだけでなく、走りにおいても表現できた。

ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE

もうひとつ、トナーレPHEVの長所はエンジンと電気モーターの制御がことのほか秀逸であるということ。制御を目まぐるしく展開しつつ、適切な駆動力を提供してくれる。そしてそのことがドライバーに違和感として伝わることがない。改めてフィアットグループの技術力の高さに感心する。

Q2は改めていまとてもオススメな1台

一方のアウディQ2はどうか。グレードは35TFSIアドバンスド。日本デビューから7年。まだ売っていらしたのね? と失礼ながら思ってしまったほどのご無沙汰具合。なんでもマイナーチェンジしたらしく(不覚にも見逃していた)、ディーゼルとSQ2が2Lエンジンなのに対して、ガソリンエンジンのスタンダードは1.5Lのみとなった。

AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED/アウディファミリーの中でも、個性的でコントラストの効いた内外装のデザインを特徴とし、コンパクトなボディにゆとりのある居住性と積載性が魅力。1.5LTFSI直4エンジンは低負荷の際には2気筒となる気筒休止システムのシリンダーオンデマンドの採用により低燃費を実現している。

カクカクとした見栄えがアウディラインナップにあって今なおとてもユニーク。だからか、見た目の新鮮味を失っておらず、デビューして7年も経っているとは思えない。アウディに限らずイタズラに顔付きをケバくしてしまいがちな昨今、これくらいの見た目の個性アピールがちょうどいい。

AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED

乗ってみれば全てにおいて優しく身体に染み入るようなパフォーマンスが心地よいSUVだった。まずはアウディらしく芯があって軽やかな動き出しをみせるも、そのライドフィールは心地硬めの気持ちよさ、動かしやすさと乗り心地の両方を高いレベルで融合できている。決して俊敏なクルマではない。加速もステアもそのフィールそのものはおっとりとしているのだけれど、その実、しなやかに動く。その塩梅が心地よい。

AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED

見た目はまずまずスポーティだけれど、乗り味そのものはまるでそうじゃない。力強さは必要にして十分、遅くもなければ速くもなし。これでいいと思えるレベルであることは間違いない。

たとえばハンドリング。別に峠道に来なくてもいいじゃないというクルマだけれど、見栄えはスポーティだからちょっと来たくなる、という場合でも、これがけっこう楽しめる。しかもトナーレとは真逆の楽しさ。キビキビとクイックに曲がっていく、というか曲がりたがるトナーレに対して、Q2はドライバーの手足の動きへの応答がとてもおおらか。そのぶん、何事にもゆっくり対処できるから、その特性を利用すればかえって楽しめたりする。要するに自分でコントロールしていると思いやすい。

AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED

アウディってこんなにも懐の深いクルマを作っていたのか、と、そのドイツ車風味の濃さに改めて感心する。そうだ、その昔のメルセデスがよくそうなっていったように、今のアウディ(エンジン車)はとても熟れている。電動化に熱心なブランドだからこそ、昔ながらのエンジン搭載モデルは熟成が進むというわけだろうか。

結局のところアウディQ2のような熟れたモデルが実用SUVとして最高だったんだな、と改めて思いが至るあたり、ハッチバックではなくSUVがノーマルな選択肢であることを20世紀的なクルマ好きは身に染みて感じることに。それでもハッチバックが乗れば最高だと思うけれど!

AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED

見た目にほどよくコンサバ、走りもほどよくニンブル、結果的に全てにほどよく身体にフィットした。普段使いを重視するというのであれば、この対決、アウディQ2に軍配をあげておく。

コンサバ上等だ。しかも車両価格が400万円台とこのご時世、とってもお安く感じてしまう。トナーレQ4の、感覚的にはほぼ半値! そんなアウディはこの世代が最後かもしれないし、改めて今とてもオススメな1台だと思った。

普段使いを重視するのであれば、アウディQ2に軍配をあげておく。

【SHORT IMPRESSION】渡辺敏史
AUDI Q2/熟成の極みに達するジャストサイズアウディ

アウディのモデルラインナップにおいては最も小さいSUVとなるのがQ2。さりとてその成り立ちはクロスオーバーの側に近く、寸法的には全幅1800mm以下、全高1550mm以下と、駐車環境含めて日本ベストともいえるサイズに収まっている。大人がしっかり座れる後席や400L以上の荷室と、車格に対する実用性の高さも及第点以上といえるだろう。
登場から7年以上経ち、古さを感じるところもあるが、質感そのものは最新のライバルに比べても見劣りはなく、その上でアラのないこなれた走りにはCセグメント級のオーラも感じられる。熟成の極みにして暮らしにジャストサイズのアウディとして今も充分検討に値する1台だ。

【SHORT IMPRESSION】石井昌道
ALFA ROMEO TONALE/アルファ・ロメオらしいパフォーマンスのPHEV

ノーマルなNモードで走らせていると電気モーターのみでの走行が多く、ハイブリッドらしい洗練された印象なのだが、ダイナミックなDモードに切り替えると、PHEVゆえの比較的大きなモーターとエンジンが天晴れなパフォーマンスをみせる二面性がトナーレの魅力。低回転域は電気モーターのトルクでグイッと押していき、回転上昇とともにエンジンのパワーにバトンタッチしていく特有の加速が味わえる。PHEVを環境対応だけではなく、パフォーマンスアップにも活かしているのだ。クイックなハンドリングもアルファらしいところで、ステアリング操作に忠実な曲がり方が気持ちいい。PHEVとなって低重心化が図られているのも美点だ。

【SPECIFICATION】AUDI Q2 35 TFSI ADVANCED
■車両本体価格(税込)=4,170,000円
■全長×全幅×全高=4200×1795×1530mm
■ホイールベース=2595mm
■車両重量=1340kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1497cc
■最高出力=150ps(110kw)/5000-6000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1500-3500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=前:ストラット、後:トレーリングアーム
■ブレーキ=前後:ディスク
■タイヤサイズ=前後:215/55R17
問い合わせ先=アウディジャパン TEL0120-598-106

【SPECIFICATION】ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4 VELOCE
■車両本体価格(税込)=7,400,000円
■全長×全幅×全高=4530×1835×1615mm
■ホイールベース=2635mm
■車両重量=1880kg
■エンジン種類/排気量=直4SOHC8V+ターボ/1331cc
■最高出力=180ps(132kw)/5750rpm
■最大トルク=270Nm(27.5kg-m)/1850rpm
■モーター最高出力=前:45ps(33kw)/8000rpm、後:128ps(94kw)/5000rpm
■モーター最大トルク=前:53Nm(5.4kg-m)/8000rpm、後:250Nm(25.5kgm)/2000rpm
■トランスミッション=6速AT
■サスペンション=前後:ストラット
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:235/40R20
問い合わせ先=ステランティスジャパン TEL0120-779-159

 

フォト=岡村昌弘(CROSSOVER) ルボラン2024年10月号より転載

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