国内試乗

【国内試乗】電動化で更なるパフォーマンスを得たアメリカンマッスル「シボレー・コルベットE-RAY」

伝統のFR 駆動と決別し、ミッドシップスポーツとして新たに生まれ変わった8代目コルベットに、ハイブリッドモデルの「E-Ray」が追加された。そのキャラクターからは一番縁遠いと思える電動化だが、果たして仕上がりのほどはいかに。

電動化されても走りの楽しさは失われていない

電動化とは縁遠いイメージのあるコルベットに初のハイブリッドモデルが登場した。「E‐Ray」という何やら洒落たネーミング名が与えられたニューモデルは、環境対応の枠を超え、コルベット史上最速の加速をみせるという。LT2などV8OHVを搭載するモデルをベースに、フロントアクスルへ最高出力119kW(162ps)、最大トルク165Nmの電気モーターを搭載し、センタートンネルに配置された駆動用バッテリーの容量は1.9kWh。日本の一般的なハイブリッドカーに比べると、電気モーターは高出力&高トルクでEV走行の多いPHEV(プラグインハイブリッド)でも通用するくらい。バッテリー容量はハイブリッドとしてはやや大きめだが、PHEVだとしたら小さすぎるくらいだ。

鮮やかな青が印象的なボディカラーは最新色「リップタイドブルー メタリック」。この他にも「シーウルフグレー トライコート」を含む全5色で展開される。

エンジンは使わず電気モーターだけで走行するステルスモードは、バッテリーが満充電であれば約72km/h以下で最大4.8〜6.4kmの走行が可能となっている。高出力モーターでそれなりのEV走行が可能だが、距離はあまり望めないというのは、スペックから想像できる通りだ。

インテークやリップスポイラーなどの加飾パーツは、ピュアエンジンモデルとは異なりボディ同色仕上げ。

ステルスモードを起動するには、ブレーキを踏みながらモードセレクターを回し、「ステルス」を選択してからイグニッションをONにする。その操作をしないと、アイドリングストップ以外は常にエンジンがかかった状態で走行中にEV走行に移行することはない。
ステルスモードで街中を走ってみると、大人しめのBEVといった雰囲気。コルベットが前輪駆動で走っていることが不思議だ。バッテリー残量が底をつく、72km/hを超える、もしくは一定以上の負荷がかけることでエンジンが強制的にかかって一般走行用のツーリングモードに移行。排気量に余裕があるので通常は2000rpm台で事足りてしまい3500rpmも回せばそれなりに迫力が増す。センターディスプレイでエネルギーフローを観察していると、結構頻繁に電気モーターの出力がマイナス表示になる。つまりエンジンの余剰トルクで発電してバッテリーへ電力を貯めているのだ。もちろん減速時には回生もしている。EV走行に移行することはないが、賢くエネルギーを使っているのだ。

前後ブレーキはカーボンセラミックタイプが標準装備される。

貯めた電力は強い加速を求めたときにアシストとして使われる。LT2は最高出力502psで0→60mph(0→96km/h)加速が2.9秒なのに対してE‐Rayは664psで2.5秒まで短縮。低回転・低速域に強い電気モーターとAWD化による威力でとんでもなくタイムアップするのだ。バッテリー残量が十分にないと最高のパフォーマンスは得られないが、電気モーターはかなり強力なパワーサプリメント。6500rpmまでシャープに回ってパワーを発揮するエンジンとモーターの大トルクの組み合わせは独特のフィーリングをもたらす。

502ps/637Nmを発揮する6.2LのV8自然吸気エンジンをミッドシップに搭載。さらにセンタートンネル内の1.9kWhのリチウムイオンバッテリーを介して前輪モーター駆動、そちらは162ps/165Nmを発揮する。

以前からコルベットはピュアスポーツの割に乗り心地が良かったが、現行モデルはさらにその感が強く、ツーリングだと80km/h巡航などでもボディがフンワリと上下動するほどソフトだった。ERayはそこまでソフトではなくどのモードでも適度にダンピングが効いていてボディの動きが落ち着いている。ZERパフォーマンスサスペンションはE‐Ray専用チューンとなっているが、初期のLT2以上にマッチングが絶妙だ。多少ハード寄りになったが、上下動が少ない分、かえって快適になったと言えるのだ。
ベースモデルと比較すると車両重量が140kgほど重くなってはいるものの、コルベットならではの走りの楽しさは犠牲になることなく、電気モーターによる+αの魅力があるE‐Ray。PHEV化など、さらに発展する可能性にも期待したいものだ。

コルベット史上初となる右ハンドルモデルが選べるのもベースモデルと変わらず。

シートはホールド性の高いセミバケットタイプ。

シフト下のスイッチから走行中のバッテリー残量を一定値以上に保つチャージモードをON/OFFできる。

100%モーターのみで走行できる「ステルスモード」は始動時のみ使用可能だ。

センターディスプレイからはエネルギーフローをリアルタイムで確認できる。

【Specification】シボレー・コルベットE-RAYクーペ3LZ
■車両本体価格(税込)=23,500,000円
■全長×全幅×全高=4685×2025×1225mm
■ホイールベース=2725mm
■トレッド=前:1675、後:1620mm
■車両重量=1810kg
■エンジン型式/種類=LT2 / V8OHV16V
■内径×行程=103.2×92.0mm
■総排気量=6156cc
■最高出力=502ps(369kW)/6450rpm
■最大トルク637(65.0)/5150
■モーター形式/種類HP1/交流同期電動機
■モーター最高出力162(199)/9000
■モーター最大トルク165(16.8)/0-4000
■燃料タンク容量=70L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=23.8km/L
■トランスミッション形式=8速DCT
■サスペンション形式=前後:Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=Vディスク
■タイヤ=前:275/30R20、後:345/25R21

問い合わせ先=ゼネラルモーターズ・ジャパン TEL0120-711-276

フォト=篠原晃一 ル・ボラン2024年11月号より転載
石井 昌道

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