コラム

2024年(令和6年)上半期の統計から見る近年の交通事故の傾向を探ってみた

悲惨な事故で尊い命が失われないようにするためにも、事故の原因を知ることが重要です。今回は、警察庁が公開している2024年上半期(2024年1月〜6月)の交通死亡事故の特徴を元に、交通死亡事故の原因や増えている危険行為などを解説します。

交通事故による死者数はここ数年横ばい

警察庁が公開している2024年(令和6年)上半期の交通死亡事故の特徴によると、交通事故による死者数は令和に入ってから減少傾向となっていましたが、直近2年はほぼ横ばいとなっています。

【交通事故の死者数の推移(各年6月末の人数)】
・2019年(令和元年):1,418人(内65歳以上:801人)
・2020年(令和2年):1,357人(内65歳以上:778人)
・2021年(令和3年):1,198人(内65歳以上:684人)
・2022年(令和4年):1,158人(内65歳以上:652人)
・2023年(令和5年):1,181人(内65歳以上:646人)
・2024年(令和6年):1,182人(内65歳以上:650人)

年々交通事故による死者数は減っているものの、2024年も1ヶ月あたり約190人、1日あたりに換算すると約6人の尊い命が交通事故によって失われています。

飲酒死亡事故および重傷事故件数は減少または横ばい

飲酒運転による死亡事故・重傷事故は、多少の増減はあるものの、減少傾向またはほぼ横ばいで推移しています。

【飲酒運転による死亡事故・重傷事故件数の推移(各年6月末の件数)】
・2019年(令和元年):死亡事故 91件、重傷事故 185件
・2020年(令和2年):死亡事故 78件、重傷事故 181件
・2021年(令和3年):死亡事故 72件、重傷事故 148件
・2022年(令和4年):死亡事故 55件、重傷事故 125件
・2023年(令和5年):死亡事故 62件、重傷事故 152件
・2024年(令和6年):死亡事故 49件、重傷事故 138件

罰則が強化されたり、飲酒運転が危険であることが知られるようになっていたりするものの、未だに飲酒運転がなくなっていないのが現実です。

飲酒は運転の判断および操作に大きな影響を及ぼします。「少しなら」という油断が取り返しのつかない事態のきっかけとなるため、飲酒運転は絶対にしないようにしましょう。

携帯電話使用等による死亡事故・重傷事故件数は増加傾向

ながら運転としても話題となるスマートフォン・携帯電話の使用等による死亡事故・重傷事故の件数は年々増加傾向となっています。

・2019年(令和元年):死亡事故11 件、重傷事故 30件
・2020年(令和2年):死亡事故 1件、重傷事故 23件
・2021年(令和3年):死亡事故 7件、重傷事故 23件
・2022年(令和4年):死亡事故 5件、重傷事故 30件
・2023年(令和5年):死亡事故 8件、重傷事故 36件
・2024年(令和6年):死亡事故 14件、重傷事故 44件

スマートフォンや携帯電話、ナビやモニターを注視をしながら運転するのは、わき見運転です。また、わき見運転は、前方不注意になるだけでなく、視野が狭くなるため周囲から迫りくるクルマ、自転車・バイク、歩行者などに気が付かない可能性も高くなります。

運転者本人は、一瞬だけ目を離してしまったと思っているかもしれませんが、画像や文字を認識するためには数秒の時間がかかる場合もあるため、スマートフォンや携帯電話、ナビやモニターは注視しないようにしましょう。

運転中のわき見や前方不注意が事故の原因として増加している

警察庁の統計データを見ると、わき見運転や前方不注意などによる死亡事故や重傷事故が増えていることがわかりました。

夏休み・お盆シーズンが終わり、年末に向かう秋から冬のシーズンは、さまざまな連絡をしたり、イベントが控えていたりします。そのため、スマートフォンや携帯電話を使用する頻度が増えるでしょう。

前方の交通状況から一瞬目を逸らしたことが原因で交通事故を起こさないようにするためにも、運転をするときは運転に集中し、わき見運転や前方不注意にならないように気をつけましょう。

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