前後のライトデザインが印象的!
筆者(黒木美珠)は、30歳を迎えたら憧れの輸入車を手に入れたいという夢を抱いていました。この連載では、そんな夢を追いかける美珠が、輸入車の魅力を探求し、心を動かされたモデルを皆さんに紹介していきたいと思います。そして今、輸入車解禁を前に、未来の愛車を見つけるための旅に出ます。果たして、美珠の心を奪う一台は見つかるのでしょうか? 第三回は、世界で最もうつくしいクルマにも選ばれたDS DS4 E-TENSEをお届けします。
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皆さんは“DS”というブランドをご存知でしょうか。筆者も名前は知っていたものの、どのようなルーツを持つメーカーなのか詳しく知る機会はありませんでした。”高級なフランス車”、という程度のざっくりとしたイメージだけがありました。
DSは、2014年にフランスのシトロエンから独立し、新たなブランドとして誕生しました。正式にはDS AUTOMOBILES(DSオートモビルズ)といい、現在はステランティス N.V.傘下に属しています。そのデザインはエレガントかつ独創的で、他にはない美的センスをまとったクルマづくりが特徴です。
そんなDSのラインナップの一台「DS4 E-TENSE」を体験する機会を得ました。今回試乗した「DS 4」は、1.6Lガソリンターボエンジンに電動モーターを組み合わせた「E-TENSE」プラグインハイブリッドモデルです。
ほかにも、1.5Lのクリーンディーゼル「BlueHDi」、そして軽量でコンパクトな1.2L PureTechガソリンターボエンジンを搭載したモデルが用意されており、好みやライフスタイルに合わせて3つの異なるパワートレインから選べるのが魅力です。
エクステリアは、一言で「美しい」という表現がぴったりです。全長4,415mm、全幅1,830mm、全高1,495mmのプロポーションは、ワイド&ローボディで堂々とした印象を与えつつも、重厚すぎず、まるで動物のしなやかな筋肉を思わせる抑揚がボディに施されています。
ボンネットからサイドボディ、リアフォルムまで、さまざまな角度で作り上げられたプレスラインは、彫刻品のような美しいラインを形成し、どの角度から見ても宝石のカット面のような輝きを放っています。全体として、洗練されたデザインが際立っています。
今回試乗したDS 4で特に印象的だったのが、そのライトデザインです。シャープで洗練されたDS マトリクスLEDビジョンヘッドライトは、先進感あふれる眼差しで目を引きます。印象的なLEDデイタイムランニングライトも備え、光源の脇にはDSのマークがさりげなく刻まれているなど、細部への徹底したこだわりに思わず惹かれました。
テールライトもフロントとは異なる魅力を放ち、唯一無二の光り方をしています。リアフェンダーに深く刻まれたキャラクターラインと一体化するようにデザインされ、ダイヤモンドのように精緻で立体的なカットが施されています。さらに、流れるように点滅するシーケンシャルウィンカーがエレガントに輝き、夜間でもその存在感は抜群です。
インテリアのデザインは、全体的に洗練された機能美が際立つ空間で、直線と曲面が調和したダッシュボードとドアトリムはシンプルながらも上質な印象です。ステアリングヒーターなど、「あればうれしい」と思う装備も充実しており、細かな配慮が随所に感じられます。
中でも驚かされたのが、ウインドウスイッチの配置です。通常、高級車でもウインドウスイッチは決まった形状と位置に収められがちですが、DS 4では一線を画しています。ウインドウのすぐ脇、モールの延長線上に巧みに配置され、一見すると内装の装飾の一部にしか見えない造りだったのです。こうした細部に至るこだわりには感動を覚えました。
そして、特に気に入ったのがシートです。過去に紹介したプジョー308でも感動した「座面の長さ調整機能」が、こちらのDS 4にも搭載されています。座面先端部分のレバーで長さを調整できるため、太ももから膝裏までしっかりサポートされ、長時間の運転でも快適に過ごせます。足が疲れやすい筆者にとって、これはクルマ選びの決め手になりそうな必須機能です。
今回試乗した一般道は、少し勾配のある登り下りが含まれていましたが、走り出してすぐに驚いたのは静粛性の高さです。モーターでの走行中はもちろんのこと、エンジンがかかっても静かで、風切り音やロードノイズも非常に抑えられていました。また、静かな中にも力強さを感じる加速が印象的で、美しいインテリアと相まって上質な空間にいるような気分が高まります。
さらに、視界も予想以上に良好で、運転がしやすいと感じました。駐車場の出入口などにある少しの段差も気にせずに乗り越えられる最低地上高165mmは、日常使いにおいてもストレスの少ない仕様だと感じます。
今回試乗したDS 4 RIVOLI E-TENSEプラグインハイブリッドのメーカー希望小売価格(税込)は697万6000円です。一方、PERFORMANCE LINEグレードでは、1.2L PureTechガソリンターボエンジンを搭載したモデルが税込515万4000円から購入できます。
どちらもDSの魅力を存分に感じられる一台ですが、装備やパワートレインの違いを考慮しつつ、ご予算やライフスタイルに合ったグレードを選ぶのも良いのではないでしょうか。
RIVOLI E-TENSEはプラグインハイブリッドならではの静粛性や環境性能が魅力で、都会の洗練さと先進性を兼ね備えたモデル。一方、PERFORMANCE LINEはガソリンエンジン特有の軽快な走りが楽しめるだけでなく、より抑えた価格でDSのデザイン性や高級感を味わえるモデルです。それぞれに異なる魅力があるからこそ、自分に合った一台をじっくり選びたいですね。
さて、DS4はどんな人に似合うクルマでしょうか。私の答えは、洗練された美しさを愛する人。派手な装飾や過剰なデザインではなく、細部に宿る繊細さと上質さに心惹かれる方にぴったりだと感じます。
ひとつひとつの仕上がりに職人技を感じさせるDS4には、どこか引き算の美学が漂い、余裕あるエレガンスが際立っています。そのため、年代を問わず多くの人に愛される一台になることでしょう。
そんなDS4に乗るなら、どこへ行きたいか。私の頭に最初に浮かんだのは箱根です。このクルマの都会的でモダンなイメージを生かし、夜景を楽しむ都会のドライブも素敵ですが、洗練された雰囲気を持つDS4とともに箱根の美術館を巡る旅は、心が満たされる時間になるのではないでしょうか。
静かな山間に佇む美術館と、このクルマが織りなす風景を思い描くだけで、特別な時間が訪れる予感がします。DS4の魅力を知るたびに、どんな道を走り、どんな場所を訪れるのか、その先の景色が自然と浮かんできます。このクルマが持つ独特の雰囲気が、ドライブを単なる移動手段から、感性を刺激する旅へと変えてくれるのではないでしょうか。
DS DS4 E-TENSE 「5段階評価」
美しさ:⭐⭐⭐⭐⭐
個性(人と被らない度):⭐⭐⭐⭐⭐
デザイン:⭐⭐⭐⭐⭐
サイズ感:⭐⭐⭐⭐
価格:⭐⭐
走り:⭐⭐⭐⭐
総評
人と被らない個性あるクルマに乗りたいと考えている方にとって、まさに理想的な一台と言えるのではないでしょうか。
将来の購入可能性:95%
内外装の美しさだけでも十分満足できる買い物になりそうで、所有することを想像するとワクワクします。ただ、一つ懸念があるとすれば、その価格です。今回試乗したDS DS4 E-TENSEの車両本体価格は697万6000円で、プラグインハイブリッドモデルは700万円近く、少し背伸びが必要な価格帯に感じました。しかし、DS 4にはプラグインハイブリッド以外にもディーゼルやガソリンエンジンのバリエーションが揃っており、予算に応じて自分に合ったモデルを選べるのも大きな魅力です。
価格に対するハードルを感じつつも、認定中古車を調べたところ、年式が浅く、走行距離も数百から数千キロのモデルが500万円代前半で販売されていました。こうした認定中古車を検討するのも、賢い買い方の一つかもしれません。
【Specification】DS4 RIVOLI E-TENSE
■全長×全幅×全高=4400×1830×1495mm
■ホイールベース=2680mm
■トレッド=前1600、後1600mm
■車両重量=1760kg
■エンジン型式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1598cc
■最高出力=180ps(132kW)/6000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1750rpm
■システム最高出力=225ps
■システム最大トルク=360Nm
■燃料タンク容量=40L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前205/55R19、後205/55R19
この記事を書いた人
1996年生まれ。洗車専門チャンネルとしてYouTubeでの活動を開始し、現在は国内外の自動車メーカーの試乗会に参加し、レビュー動画を行っています。30歳までは日本車への理解を深めるため、日本車のみを所有して活動してきました。28歳も半ばを迎え、30歳が見えてきた今、未来の愛車である輸入車を探すべく本連載をスタートしました。過去には自家用車で90日以上の車中泊をしながら日本一周を経験。その経験を通して出会った魅力的な場所を、1記事につき1箇所ご紹介していきます。