1970年当時のトム・ダニエルがいかに破天荒で、創造的で、批評的であったかを物語るチェリーボム・コンボ(品番6761)を紹介しよう。ガスタービン・エンジンもチルトアップ式のバブルトップも、当時はすっかり過去のものだったはずだが、トム・ダニエルはこのデザインを「とにかく未来的なものを作りたかった」と述懐している。自らの童心からレトロな要素を抽出して、むしろ未来につなげようとするアプローチは、'70 BOSSマスタングのコンセプトとも通じている。彼もまた純粋なモノグラム・マンなのである。
撮影:秦 正史