
コントロールの自由度が想像以上に広いのが美点
マツダCX80の雪上試乗会が、北海道のルスツリゾートで行われた。CX80は、マツダFRプラットフォームをベースにした3列シートのラグジャリー・クロスオーバーSUVだ。試乗したのはPHEVモデルで、トルコンなしの8速ATが組み合わされている。車重は2210kgで、しかもホイールベースが3120mmある。FRベースの4WDとはいえ、どれほどの走りを見せてくれたのか。
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ほんの少しだけ後ろ向きな気分で走り出したのだが、予想は良い方向に大きく裏切られる結果になった。ノーズの動きが軽いのだ。これだけの車重とロングホイールベースが、まったくネガティブな要素になっていない。減速時の駆動トルク配分はかなり後ろ寄りになっているので、ステアリングの効きが素晴らしくいい。
試乗ステージになっているワインディング路をちょっとペースを上げ気味に走ってみてもクルマの重さをほとんど意識させない。しかもKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)の効果なのか、明らかにターンイン時の安定性が高い。後輪イン側のタイヤの接地感が高いのだ。
リヤの安定性が高いとアンダーステア傾向が強いように聞こえるかもしれないが、対角にある前輪アウト側のタイヤの負担が少なく、とてもスムーズにヨーが出て、そのまま4つのタイヤのグリップ性能を上手に使って旋回に入っていく。滑りやすくタイヤのグリップにそれほど余力がない状況だからこそ、そんな感覚がはっきりわかる。しかも、コーナー半ばからアクセルを踏み込むんで行くと、軸足のリヤタイヤに強めの駆動力をかけながら、前輪がノーズを引っ張るように走ってくれる。
次にハンドリングコースにステージを移して走らせてみると、これまたコントロールの自由度が想像以上に広い。DSCはOFFにしてもトラクションコントロールのみOFFになるだけだが、舵の利きがいいのと、軽いリヤスライドは制御が許容してくれることもあって、FRを感じさせる走りが楽しめる。
PHEVに組み合わされるトルコンなしの8速ATなので、エンジン+モーターのトルクを素早く、かつ正確に発揮することができ、曖昧さのない、ダイレクト感アクセルレスポンスを持っているのもこのPHVの魅力の一つ。雪上での繊細なアクセル操作が誤差なく路面に伝えられる感覚は、素直な操縦性とともにクルマとの一体感を高める重要なファクターだ。
ルスツリゾートでの試乗後、新千歳まで一般道を自走したが、試乗コースで感じた安定感と操縦性の良さ、一体感は、そのまま一般道でも感じられ、快適なドライブを楽しむことができた。
【Specification】マツダCX-80 XD ハイブリッド
■車両本体価格(税込)=5,967,500円
■全長×全幅×全高=4990×1890×1710mm
■ホイールベース=3120mm
■トレッド=前:1640、後:1645mm
■車両重量=2090kg
■エンジン型式/種類=T3-VPTS/直6DOHC24V+ディーゼルターボ
■内径×行程=86.0×94.2mm
■総排気量=3283cc
■最高出力=254ps(187kW)/3750rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m) /1500ー2400rpm
■モーター形式/種類=MR/永久磁石式同期電動機
■モーター最高出力=16.3ps(12kW)/900rpm
■モーター最大トルク=153Nm(15.6kg-m)/200rpm
■燃料タンク容量=74L(軽油)
■燃費(WLTC)=19.2km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:235/50R20
問い合わせ先=マツダ TEL0120-386-919