1953年のインディアナポリス・モーター・スピードウェイにはまだウィルバー・ショウがいた。「この荒れ果てたコースは戦後は売却され住宅地になってしまう」と地元民たちが諦めていた終戦間際、政府公認500マイル・タイヤのテストのため帰ってきた伝説のレーサーだ。当時の所有者エディ・リッケンバッカーに連絡をとった彼はスピードウェイが売りに出されていると知り、自動車業界の方々に救済を求める手紙を書きまくるが、その返事はいずれも冷たいものばかり。スポンサーを必死で捜し実業家トニー・ハルマンと出会い、危機一髪のところで「奪還」に成功する。
写真:羽田 洋、秦 正史