そもそもなぜベルヴェディアなのか。クライスラー350を搭載したスポーティーなフューリーじゃないのはなぜなのか。これがファンの怒りの芯であった。このとき、ファンの疑問になめらかに即答できる識者はもはやRCアーテルAMTには存在しなかったといっていい。問いをぶつけてきた者たちは百戦錬磨、アメリカンカープラモの暗黙知を一身に帯びたベテランである。「もちろんV型8気筒エンジンも精密に再現しました」といったところで、「俺たちが訊いているのはそんなことじゃない」とただちに返ってくる。その先に語りがなにもなければ、そこで終わりなのだ。
写真:羽田 洋、秦 正史