本文にて筆者は、21世紀のアメリカンカープラモを「ついさっきのこと」と書いた。本連載が1960年代を語りはじめたときは「この10年間は仮に倍の時間があったとしても辻褄が合わないほどの密度でさまざまな事象が巻き起こった」と前置きし、努めてゆっくりと語ることにした。ここに掲げたボックスアートは2010年、ついさっき、レベルから登場した究極のファニーカー・キットのひとつである(品番85-4286)。テーマは知る人ぞ知るシータウン・ハスラー・チャージャー、その複雑精緻なシャシー構造について、どんなに長い時間をかけて写真を掘ってもなかなかみつけ出すことができなかった1台である。
写真:羽田 洋、秦 正史