
第3世代のアウディQ3 SUV/Q3スポーツバックの全貌が明らかに
アウディは2025年8月25日、プレミアムコンパクトSUVのベストセラーモデル「Q3」の第3世代となる新型モデルの詳細を発表した。全世界で累計200万台以上を販売してきたQ3ファミリーは、今回の刷新により、デザイン、デジタル化、走行性能、そして効率性のあらゆる面で新たな基準を打ち立てる存在として生まれ変わったという。アウディAGのゲルノート・デルナーCEOが「我々の製品ポートフォリオにおいて高い地位を占める重要なモデル」と語るように、新型Q3はブランドの未来を象徴する一台と言えるだろう。
【画像134枚】筋肉質に進化したフォルムは必見。新型アウディ「Q3」「Q3スポーツバック」の内外装デザインを写真で見る
より筋肉質に進化したエクステリアと、路面に情報を映す革新的ライティング技術
新型「Q3 SUV」のエクステリアデザインは、先代モデルと比較して、より筋肉質でエモーショナルなものへと進化した。ボディは丸みを帯びたセクションと正確なラインの完璧な組み合わせによって定義されている。フロントでは、高い位置に配置された幅広のシングルフレームグリルと、空力コンセプトに完全に統合された流線形のヘッドライトが、研ぎ澄まされた表情を創出している。サイドビューでは、ヘッドライトとリアライトを結ぶ水平なショルダーラインが車体を視覚的に二分割し、光と影の特別なコントラストを生み出している。
クーペのような美しさを兼ね備えた「Q3スポーツバック」は、SUVモデルよりもルーフラインが29mm低く設定され、より速く、よりスポーティなシルエットを強調している。リアデザインも特徴的であり、オプションで選択可能なデジタルOLEDリアライトと、車幅全体に伸びる連続したLEDライトストリップ、そして点灯するアウディリングが、先進的かつクリーンな印象を与えている。
新型Q3のハイライトの一つが、フルサイズクラスから受け継いだ革新的なライティング技術である。フロントに採用されたデジタルマトリクスLEDヘッドライトは、このモデルで初めて使用されるマイクロLEDモジュールを搭載している。幅約13mmのモジュール上に、人間の髪の毛の約半分の太さである約40マイクロメートルのマイクロLEDが25,600個も配置されており、これにより極めて高いコントラストの照明を実現。特に悪天候下での安全性を大幅に向上させている。このヘッドライトは単に路面を照らすだけでなく、運転支援システムと緊密に連携し、車線案内や路面凍結の可能性を示す警告シンボルなどをドライバーの視界前方の路面に直接投影することが可能だ。
フルサイズ譲りの「デジタルステージ」と、広大な空間を生む新発想の操作系
インテリアは、デザインと機能性が大幅に向上し、乗員を心地よく包み込む空間へと昇華した。最も象徴的なのは、11.9インチのインストルメントクラスターと12.8インチのMMI(Multi Media Interface)タッチディスプレイが一体となった「デジタルステージ」である。この湾曲したデザインは、ドライバー中心のコクピットレイアウトを形成し、アウディがフルサイズクラスで培ってきたデジタル体験を初めてコンパクトセグメントに導入したものだ。
さらに、ステアリングコラムに新たに設置された2本のレバーが、操作系に革新をもたらした。右側がギアセレクター、左側が灯火類とワイパーの操作レバーとして機能することで、従来センターコンソールにあったシフトセレクターが廃止された。これにより、センターコンソールには2つのカップホルダーや冷却機能付きのワイヤレス充電トレイなどを備える広々とした収納スペースが確保され、快適性と実用性が大きく向上している。
静粛性への配慮も徹底されており、このセグメントのアウディモデルとしては初めて、フロントサイドウィンドウにアコースティックガラスをオプション設定し、特に高速走行時の車内音響の快適性を高めている。
EV航続119kmを達成したPHEVが主役。高効率エンジンも揃う多彩なパワートレイン
パワートレインは、高効率なエンジンからパワフルなプラグインハイブリッドまで、幅広いラインナップを誇る。エントリーモデルは、マイルドハイブリッド技術を採用した1.5 TFSIガソリンエンジンで、110kW(150ps)を発生する。より高いパフォーマンスを求めるユーザーには、150kW(204ps)と195kW(265ps)の2種類の2.0 TFSIエンジンが「quattro(クワトロ/全輪駆動)」と組み合わせて用意される。長距離走行には、360Nmの力強いトルクを発生する2.0 TDIディーゼルエンジンが最適だろう。
そして最も注目すべきは、これまで以上にパワフルかつ高効率に進化したプラグインハイブリッドモデル(e-hybrid)である。1.5 TFSIエンジンと電気モーターを組み合わせ、システム全体で200kW(272ps)の出力と400Nmのトルクを発生する。搭載される高電圧バッテリーは総容量が先代の約2倍となる25.7kWhに拡大され、これにより電気のみでの航続距離は、SUVモデルで最大119km、スポーツバックで最大118km(いずれもWLTPサイクル)という、日常生活の大部分をカバーできる実用的な性能を達成した。また、最大50kWのDC急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%まで30分弱で充電できる利便性も備えている。
より洗練された走りと、乗員の負担を減らす「賢さ」。シャシーとADASの深化
走行性能と安全性も大きく進化している。標準装備のサスペンションが改良されたほか、オプションでスポーツサスペンションや、路面状況に応じて減衰力を連続可変制御する2バルブダンパーコントロール付きサスペンションも選択可能だ。
運転支援システムでは、「アダプティブドライビングアシスタントプラス」が進化し、時速90km/h以上での高速走行時にウインカー操作をきっかけにシステムがステアリング操作を積極的に支援する、アシスト付きレーンチェンジ機能が追加された。
さらに、自宅の車庫入れなど個別の駐車操作を最大5つまで車両に記憶させ、以降は自動で駐車・出庫を行える「トレーニングパーキング」や、約50mの後退操作を自動で行う「リバースアシスト」といった革新的な駐車支援機能も新たに搭載された。
欧州での発売は2025年10月から。気になる価格と日本導入への期待
待たれる発売時期については、ドイツおよび欧州市場で2025年10月からとなり、スポーツバックは同年11月に発売される。ドイツ本国での価格も発表されており、エントリーモデルの「Q3 SUV TFSI 110 kW」が44,600ユーロから、「Q3スポーツバック TFSI 110 kW」は46,450ユーロからとなっている。プラグインハイブリッドモデルの「Q3 SUV e-hybrid 200 kW」は49,300ユーロから設定される。
デザイン、テクノロジー、パフォーマンスの全てにおいて飛躍的な進化を遂げた第3世代アウディQ3は、プレミアムコンパクトSUVの新たなベンチマークとして、再び市場をリードしていくことだろう。日本に上陸する日が待ち遠しい。
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