
六本木に降臨した“走る歴史遺産”
東京・六本木に佇むカーアクセサリーのセレクトショップ「ル・ガラージュ」にて、現在、1928年のル・マン24時間レースを制した自動車史に輝く伝説の一台、ベントレー4.5リッター「オールド・マザー・ガン」が展示中だ。さる9月13日(土)に、この貴重な車両のオーナーであり、ベントレー ドライバーズ クラブ ジャパン(BDCJ)の会長も務める涌井清春氏による解説セッションが開催された。
【画像19枚】97年の時を超えた機能美。伝説のル・マン優勝車「オールド・マザー・ガン」のディテールを全公開
生産第1号車にしてル・マン・ウィナー。その唯一無二のヒストリー
2025年9月1日(月)から28日(日)までの4週間にわたって開催されるこの展示会は、およそ100年前に製造された名車の歴史的価値とベントレーブランドの思想を現代に伝えることを目的としたもの。
展示されている車両は、単なるクラシックカーではなく、1927年に製造されたベントレー4.5リッターモデルの生産第1号車であり、当時のベントレーモーターズ会長であったウルフ・バーナート氏のために作られた一台。翌1928年、この「オールド・マザー・ガン」はバーナート氏とバーナード・ルービンの手によりル・マン24時間レースに参戦。平均速度110km/h(69.1MPH)、総走行距離2654km(1658.44マイル)を見事に走りきり、優勝を飾ったまさにその現車だという 。
涌井氏による解説では、この車両が持つ歴史的背景やレースでの逸話などが語られた。興味深かったのは、この個体が何千枚もの写真をもとに15年という月日をかけて、当時の姿に再現されたということ。98年前に製造されながら、今なお現役で走行可能なこの歴史的モデルを前に、当時の技術の高さと、それを維持し続ける情熱に感銘を受けた。
さらに涌井氏は、旧いベントレーをはじめ文化の“一時預かり人”として活動されているとのことで、今後はこうした文化を次の世代に引き継いでいきたいと語っていたのも印象的だった。
締めくくりではQ&Aセッションが行われ、
なぜストーンガードが片方だけなのか?
ホーンは何のためについているの?
最高速度は何キロ出るの?
……などについて、モータージャーナリストの武田公実氏がわかりやすい解説をしてくれた。
カーアクセサリーの聖地に鎮座する、一期一会のビンテージレーサー
会場となったのは、六本木のアクシスビル1階にある「ル・ガラージュ」。洗練されたカーアクセサリーが並ぶ店内に鎮座するビンテージレーサーは、不思議な調和を生み出していた。一期一会。まさに人生で一度会えるかどうかの歴史的遺産に誰でも気軽に触れることが可能なので、会期中にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
展示は9月28日(日)まで。入場は無料。
1919年に誕生したベントレーの創業者、W.O.ベントレー氏のポリシーは、良いクルマ、速いクルマにプラスして、最高のクルマを作るということだったという。デザインに関しても、大きなグリル、丸目ライト、なだらかなフェンダーラインなど、その哲学は現代のベントレーにも引き継がれているといえる。そんな思いに馳せた一日だった。
■ベントレー4.5リッター「オールド・マザー・ガン」展示概要
日時」 2025年9月1日(月)~9月28日(日)11:00~19:00
会場:LE GARAGE(ル・ガラージュ/東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 1F)
定休日:水曜日