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【試乗】マクラーレンの新章は静かに始まる。PHEV「アルトゥーラ」が示す“次世代への指針”とは?

マクラーレンアルトゥーラ
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都市と自然、静と動を自在に行き来できる希有なスーパーカー

2010年の本格稼働以来、マクラーレン・オートモーティブは15年にわたりロードカーの領域を切り拓いてきた。そして2025年春、その体制がレーシング部門を含んだ「マクラーレン・グループ・ホールディングス」へと再編された。ここにはラグジュアリーEVのスタートアップ企業も加わり、取締役にはフェラーリ元会長のルカ・ディ・モンテゼーモロも名を連ねるなど、動きは一段とアグレッシブだ。そんなマクラーレンは、これからどこへ向かおうとしているのか。夏の軽井沢で現行モデルを試しながら、その未来像を重ねてみた。

【画像37枚】マクラーレン初の量産PHEV「アルトゥーラ」の詳細を見る

次の時代を見据えたスーパースポーツ

マクラーレンは1963年にレーシングカーコンストラクターとして誕生し、F1やCan-Amで栄光を重ねてきた。その勢いを背景に1970年にレーシングカーをベースとする「M6GT」を製作。1992年には〝究極のロードカー〟と称される「マクラーレンF1」を発表し、2003年にはメルセデス・ベンツとの協業で「SLRマクラーレン」を送り出した。

そして2010年、ロードカー部門が改めてマクラーレン・オートモーティブとして発足。初の量産モデル「MP4-12C」を皮切りに、650/570/720Sといったモデルを矢継ぎ早に投入し、現在では世界屈指のスーパースポーツカーブランドへと進化を遂げている。今回試乗したアルトゥーラは、その歩みの延長線上にありながら、明確に次の時代を見据えた存在だ。

マクラーレンアルトゥーラ

シンプルなデサインのコクピット。メーターナセル左右のスイッチでパワーユニットとシャシーの制御を個別に調整できる。

その根底にあるのはもちろん地球規模で進む脱炭素化の潮流である。マクラーレンが60年以上にわたって主戦場としてきたF1も例外ではなく、2014年に1.6L V6ターボ+ハイブリッドというパワーユニットへ転換。その流れのなかで、マクラーレン初の量産PHEV(プラグイン・ハイブリッド)として、アルトゥーラが生まれたというわけである。

車体にミドシップ・マウントされるのは、新設計の3L V6ツインターボに電気モーターを組み合わせたハイブリッド・パワートレインだ。最高出力は700ps、最大トルク720Nm。0-100km/h加速3.0秒、最高速330km/hという公称値は、スーパースポーツの名に恥じない性能である。専用設計のカーボンモノコックにパワートレインと駆動用バッテリーを搭載し、外部充電も可能だ。

特徴的なディヘドラルドアを開けてタイトなコクピットに収まり、まず驚かされるのはその静寂性だ。スターターボタンを押しても音もなく滑り出す、スーパーカーらしい緊張感とEV的な無音の走りが同居する感覚は、新時代のスーパースポーツ以外の何物でもない。

フットワークは軽やかかつ滑らか

電動走行時は、アクセル操作に対して極めてリニアに反応する。バッテリー容量がコンパクトなぶん車重は1498kg(DIN値)と軽く抑えられ、低速域からの立ち上がりも実に軽快だ。そこに強力なエンジンとリニアなモーターアシストが重なることで、街中から高速道路、さらには軽井沢のワインディングに至るまで、フットワークは軽やかかつ滑らか。その感触を日常的に味わえたなら、毎日はより快適で、そしてエネルギッシュなものになるだろう。

その一方で、回生量は限定的で、電動走行の持続距離もやや物足りない印象を受けた。今後はバッテリーや回生制御の強化によって、よりEV的な体験を拡張していくことが、アルトゥーラの個性を伸ばす一助となるはずだ。冒頭で触れた新たなEVスタートアップとの連携もその力になるだろう。

アルトゥーラは、都市と自然、静と動を自在に行き来できる希有なスーパーカーと言える。そしてその存在は、マクラーレンが今後“スーパースポーツ×電動化×ラグジュアリー”という新たな地平を切り拓いていくための布石でもある。レーシングフィールド由来のパフォーマンスを継承しながら、次の時代を拓く。軽井沢の澄んだ空気のなかでアルトゥーラのステアリングを握ったことで、マクラーレンの進むべき道がひと筋、見えた気がした。

マクラーレンアルトゥーラ

電動スポーツモデルの中では1498kgという軽量な車重の恩恵で、ワインディングでも軽快なフットワークを味わうことができる。

【Specification】マクラーレン アルトゥーラ

■車両本体価格(税込)=33,000,000円
■全長×全幅×全高=4540×1915×1195mm
■ホイールベース=2640mm
■車両重量=1498kg
■排気量=2993cc
■エンジン最高出力=585ps(430kW)/7500rpm
■最大トルク=585Nm(59.6kg-m)/2250-7000rpm
■モーター最高出力=95ps(70kW)
■モーター最大トルク=225Nm(22.9kg-m)
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション形式(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/35ZR19:295/35ZR20

【画像37枚】マクラーレン初の量産PHEV「アルトゥーラ」の詳細を見る

フォト=マクラーレンオートモーティブ
桐畑恒治

AUTHOR

1973年生まれ。滋賀県出身。幼少の頃から自動車やオートバイに慣れ親しみ、気づけば自動車専門誌のスタッフに。以来、20年以上にわたり編集記者として国内外での取材を担当したのちに独立。軽トラックからスーパーカー、オートバイまで、とりあえずなんでも乗ってみる雑食系、もとい好奇心旺盛なモータリングライターとして活動中。

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