ベントレーとスタインウェイ、ラグジュアリーの新たな地平を拓く
英国のベントレー・モーターズは2025年10月16日、世界最高峰のピアノメーカーであるスタインウェイ＆サンズとのユニークなコラボレーションを発表した。ドイツ・ハンブルクで開催された特別イベントでは、両ブランドが共有する卓越したクラフツマンシップ、精密さ、そして時代を超えたデザインという価値観を具現化した、特別なベントレー・フライングスパー・スピードと、限定モデルのスタインウェイ・グランドピアノが披露された。
【画像10枚】白と黒が奏でる静謐なハーモニー。ベントレーとスタインウェイ、至高のコラボレーションを写真で見る
アークティック・ホワイトにピアノブラックの輝き。細部に宿る両社の美学
この特別なコラボレーションの象徴として公開されたのは、ベントレーの高性能セダン、フライングスパー・スピードである。このモデルは、ウルトラパフォーマンスハイブリッドV8エンジンを搭載し、そのエクステリアは純白のアークティック・ホワイトで仕上げられている。対照的に、インテリアには深みのあるピアノブラックの化粧板が採用されており、音楽的なデザインの調和を生み出している。
このモノクロームのカラーリングは、スタインウェイが同時に発表した限定グランドピアノ「ウルトラ・ブラック」と「ウルトラ・ホワイト」のエディションと完璧に呼応するものである。この白と黒を基調としたデザインは、両ブランドの顧客に好まれるパレットであり、「少ないことは、より豊かである」というラグジュアリーの世界における哲学を改めて提示するものだ。
スタインウェイがハンブルクの工場で生産するこの希少な限定ピアノは、コンサートグランドの「モデルB」が18台、「モデルD」が8台のみという構成になっている。これらは、スタインウェイの伝統的な職人技と革新性、そして現代的なデザイン感覚が融合した芸術作品であり、卓越した芸術性を重んじる音楽家やコレクターを魅了するだろう。
単なる楽器や工業製品ではない。「世代を超えて受け継がれる資産」
今回のコラボレーションは、単なるデザインの共有にとどまるものではない。ベントレーとスタインウェイは、共に木工技術とベニアリング（化粧板張り）の専門知識を持つブランドとして、互いの工場を訪問し、技術交流を行った。この知識の交換は、コンサートホールで世代を超えて愛される楽器と、公道で永く乗り続けられる自動車という、それぞれの分野で永続的な価値を持つ製品をいかにして生み出すかという、両社共通の姿勢を浮き彫りにした。
ベントレーのチーフ・コミュニケーションズ＆D&Iオフィサーであるウェイン・ブルース氏は、「スタインウェイ＆サンズとのコラボレーションは、クラフツマンシップが音楽と動きを結びつける、異なる世界の出会いです。スタインウェイのウルトラ・ブラックおよびウルトラ・ホワイト・エディションと対になるフライングスパー・スピードは、2つの著名なブランド間の対話を象徴しており、希少で永続的な美しさを持つオブジェを創造します」とコメントしている。
また、スタインウェイ＆サンズ・ヨーロッパの社長、グイド・ツィンマーマン氏は、「ウルトラ・ブラックとウルトラ・ホワイト・エディションは、我々の伝統を尊重しつつ、新たなデザイン表現を探求するスタインウェイの能力を体現しています。これらのピアノは、最高品質の楽器であるだけでなく、クラフツマンシップ、個性、そして時代を超えた美を重んじる人々のために作られた芸術作品なのです」と語った。
ハンブルクでの発表を皮切りに、この白と黒の三重奏、すなわちベントレー・フライングスパー・スピードと2台の限定グランドピアノは、両ブランドの顧客を対象とした一連のコンサートのためにヨーロッパを巡る予定である。自動車と音楽という、それぞれの頂点に立つ2つのブランドによる共演は、真のラグジュアリーが持つ普遍的な価値を改めて世界に示すものとなるだろう。
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