国内上陸を果たしたKIAの第一弾は商用EVバン
今回のジャパンモビリティショー2025で、注目を集めたブランドのひとつが韓国のKIA(キア)だ。KIAは、日本のBEV市場、特に商用車セグメントに本格的に切り込むという強い決意を鮮明にしていたのが印象的であった。
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PV5が示す「モビリティの多様性」
ブースのメインに展示されたのは、日本初公開となるBEVの多目的車両「PBV(Purpose Built Vehicle)」の「PV5」。KIAが「未来のモビリティソリューション」と位置づけるPV5の最大の特長は、「モジュール性」と「拡張性」にあるという。
ブースでは、スタンダードな「カーゴ(商用バン)タイプ」に加え、「乗用タイプ」や車いすの乗降に配慮した「福祉車両タイプ」、そして週末のレジャーを彩る「キャンピング仕様車」などの多様なバリエーションを展示。これらのモデルは、ユーザーのライフスタイルやビジネスニーズに合わせて、車体後部のモジュールを容易に交換できるというコンセプトに基づいている。
特に、商用バンとしての完成度は高く、広大な荷室空間、低床設計による積載性の向上、そしてBEVならではの静粛性とトルクフルな走行性能は、日本の物流・配送業界が抱える課題、すなわち「脱炭素化」と「ドライバーの負担軽減」へ貢献することであろう。
日韓タッグで切り拓く「新たな移動の価値」
プレスカンファレンスで冒頭に登壇した日本市場でのパートナーである双日 代表取締役 会長の藤本昌義氏は、双日グループとして2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、KIAのPV5に用いられている「モビリティプラットフォーム」が、日本のモビリティ分野における課題を解決する画期的なアイデアになると述べつつ、PV5によってモビリティは単なる移動手段を超えて、地域社会を活性化し、人々を支え、地球環境を守るものになり、KIAとの協業を通じて日本のカーボンニュートラル社会への移行を加速させ、真に役立つモビリティを待ち望んでいた産業や地域社会に新たな希望を届けられると確信している、と期待を語った。

双日 代表取締役 会長 藤本昌義氏
続いて登壇したKIAのPBVビジネス事業部 副社長の金 相大(キム・サンデ)氏は、KIAのビジョンと取り組み、PV5についてのプレゼンテーションを行い、PV5についてはPV5については、単なる新型車ではなく、新たなモビリティのカテゴリーそのもので、さまざまなアッパーボディ・モジュールを組み合わせられる「フレキシブルボディシステム」によって、ファミリーや物流、モビリティサービス、レジャー、キャンプ、福祉・介護といった多様なニーズに応えられるとともに、高エネルギー密度のバッテリと急速充電性能に加え、V2HとV2L機能や、先進運転支援システム(ADAS)やペダル踏み間違い加速抑制装置(PMSA)を搭載するなど、安全性も確保されているモデルであることを強調していた。

KIA PBVビジネス事業部 副社長 金 相大(キム・サンデ)氏
最後は現地販売を担うKIAPBVジャパン 代表取締役 CEO 田島靖也氏が登壇。田島氏は、販売準備の過程で日本のさまざまな分野の皆さまからPV5への多大なる期待と高い評価の声を多くいただいたことで、個人や社会全体に貢献するモビリティソリューションへと育てていくことに尽力していきたい、と述べた。

KIA PBVジャパン 代表取締役 CEO 田島靖也氏
PV5の価格は589万円から
PV5の輸入・販売を行うKIA PBVジャパンは、総合商社として知られる双日の100%出資子会社で、国内に8つのディーラーを展開し、アフターサービスは全国100カ所の提携工場と提携し独自の充電ネットワークも築くとのこと。2026年春に日本で発売予定で、バッテリーは43.3kWh、51.5kWh、71.2kWhの3タイプが用意され、最長航続距離はカーゴモデルで528km、パッセンジャーモデルで521kmを実現しているという。価格(税込)はカーゴが589万円からでパッセンジャーが679万円からとなっているが、BEVの補助金を考慮すると割安になることだろう。ちなみに初年度の目標販売台数は2000台とのことだ。
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