ニュース&トピックス

彼の愛した緑とジャケットを纏う。911 GT3に伝説の美学を封じ込めた「90 F.A.ポルシェ」の全貌

F.A.自身の愛車をモチーフにしたグリーンを纏う

ポルシェは、伝説的なデザイナーであるフェルディナント・アレクサンダー(F.A.)ポルシェの生誕90周年を記念し、特別モデル「911GT3 90 F.A.ポルシェ」を発表した。このコレクターズカーは、F.A.ポルシェの誕生日である2025年12月11日に合わせて公開された。

【画像33枚】ポルシェ・ゾンダーヴンシュ入魂のディテールや付属アイテムの様子を確認する

専用カラーとパーソナルなディテール

F.A.ポルシェは、フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)を開発したフェルディナント・ポルシェの孫であり、彼とともに自動車メーカーとしてのポルシェを創設し356も設計したフェリー・ポルシェの子である。F.A.自身も904はじめいくつかのモデルのデザインを行ったが、過度な同族経営を避けるため1972年に独立し、ポルシェ・デザインを創設。工業製品や家電製品など様々なジャンルのデザインを手掛けたのち、2012年4月5日に亡くなっている。

この特別な911GT3は、F.A.ポルシェが1980年代に所有していた911(Gシリーズ)からインスピレーションを得て仕立てられた、個性的な内外装が特徴となっている。エレガントなヘリテージデザイン要素を盛り込んで、ポルシェ・ゾンダーヴンシュにより90台が限定生産される予定だ。そのうち1台は、F.A.ポルシェの息子であるマーク・ポルシェがすでに購入している。

ベースとなる車両は、リトラクタブル・リアスポイラーを備えたロードゴーイングスポーツカー(の控えめなバージョン)である911 GT3ツーリングパッケージ。自然吸気の4L水平対向6気筒エンジンは375kW(510ps)の出力と450Nmのトルクを発生させる。

エクステリアのハイライトは、記念モデル専用に作成された「F.A.グリーンメタリック」のペイントカラーだ。この色は、F.A.ポルシェ自身の911が纏っていた象徴的な「オークグリーンメタリック」にオマージュを捧げたもので、「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」の専門家がポルシェ・ファミリーと共同で開発した。

なお、「ペイント・トゥ・サンプル」採用車は2026年から、Aピラーに新しく専用ラベルが貼付されることになるのだが、このモデルがその初めてのケースになるという。

また、ツーリングパッケージモデルには通常設定のない「スポーツクラシックホイール」がサテンブラック仕上げで組み合わされている。このホイールはクラシックなフックスにインスパイアされたもので、エンジンフードのグリルには「90 F.A.Porsche」のロゴ入り金メッキ・エンブレムが取り付けられている。

F.A.お気に入りのジャケットがモチーフのインテリア

インテリアでは、「トリュフブラウン」のクラブレザーに「チョークベージュ」のデコラティブステッチを施し、特別な「F.A.グリッドウィーブ」織り生地がシート中央部に組み合わされた、特別なものとなっている。この織り物生地は、グローブボックスやボードブリーフケース、ラゲッジコンパートメントのリバーシブルマットにも使用されている。

この生地の模様はブラック、グリーン、トリュフブラウン、クリーム、ボルドーレッドの5色の糸を織り合わせたものだが、マーク・ポルシェによると、この生地パターンはF.A.ポルシェのお気に入りのジャケットを模しており、「父の個人的な好みをこのエキサイティングなプロジェクトに取り入れました」とのことである。

さらに、インストゥルメントパネル上部のスポーツクロノウォッチは、F.A.ポルシェのために作られたオリジナルの「クロノグラフ I」に基づいている。また、オープンポアのウォールナット合板製シフトノブにはF.A.ポルシェの署名が刻まれた飾り板が、そしてダッシュボードのデコラティブトリムには金メッキのプレート(サインの複製と「One of 90」の文字、911のシルエットが刻まれている)が取り付けられ、この車両がコレクターズアイテムであることを示している。

エクスクルーシブな付属アイテム、そしてアイコンの復活

この特別エディションの購入者にはさらに、専用バージョンの腕時計「ポルシェ・デザイン クロノグラフⅠ」と、特別なウィークエンダーバッグがセットとして提供される。

時計、F.A.ポルシェのイニシャルが3時の位置に表示される特別仕様で、自動巻きムーブメントのローターはコレクターズカーのホイールと同じ形状と色を採用。ケースは1972年のオリジナルと同様にブラックコーティングされたチタン製で、裏蓋には限定番号とF.A.ポルシェの署名が刻印される。

ウィークエンダーバッグは、車両内装と同じ「トリュフブラウン」のレザーと「チョークベージュ」のステッチで作られ、フロントポケットの裏地にはシート中央部と同じF.A.グリッド生地が使用されている。また、バッグ外側のポケットには、車両のエンジンフード・グリルバッジと同じアニバーサリーロゴのバッジも刺繍されている。

さらに、この記念モデルの発表を絶好の機会として、F.A.ポルシェがデザインしたもう一つの象徴的なアイテム、1960年代のボウル型スポーツソリ「ポルシェ・ジュニア」がカーボンファイバー製で復刻される。このソリも90台限定で、車と同じ「F.A.グリーンメタリック」のボディ色と、「F.A.グリッド織り」のシートクッションが特徴である。

「911GT3 90 F.A.ポルシェ」は、2026年4月から注文可能となり、購入者ごとの最終的な個別構成を経て、2026年下半期に製造が開始される予定だ。

【ル・ボラン編集部より】

「形態は機能に従う」。911の生みの親、F.A.ポルシェの哲学は、本来GT3という硬派な機械にこそ最も色濃く宿る。ツーリングパッケージの抑制された外観に、氏の愛したグリーンとテキスタイルを組み合わせる手法は、911 S/Tにも通じるヘリテージの再定義だ。510psの自然吸気エンジンを、あたかも着慣れたジャケットのように羽織る贅沢。これは単なる記念碑ではなく、ポルシェ一族の「血の濃さ」と機能美の真価を噛み締めるための、極めて理知的な一台といえる。

【画像33枚】ポルシェ・ゾンダーヴンシュ入魂のディテールや付属アイテムの様子を確認する

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

LE VOLANT web編集部

AUTHOR

注目の記事
注目の記事

RANKING