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レーシングドライバーの佐藤琢磨選手は、2026年5月に開催される第110回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)に、ラハル・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)からスポット参戦する。これを受けて2026年3月18日、東京・港区の六本木ベルサールにて「佐藤琢磨選手INDY500参戦に関する取材会」が行われた。
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待望の3勝目を目指して
前日3月17日には、アメリカ・インディアナ州にてRLLから、この佐藤琢磨選手の参戦について、正式な発表があった。2017年と2020年の2度、同レースで優勝経験を持つ佐藤選手にとって、今回が17回目の出場となる。また、工作機械メーカーのアマダ・アメリカが2026年も、佐藤選手の乗る75号車をスポンサードすることが発表された。この関係はこれで3年目となる。
佐藤琢磨選手は2024年、2025年に続き3年連続でRLLのホンダエンジン搭載車(75号車)をドライブし、待望の3勝目を目指すこととなる。2025年大会では2番グリッドからスタートし、序盤にレース最多の51周をリードするなど力強い走りを見せたが、最終的には9位でフィニッシュした。
飄々と語られる不屈の闘志
取材会では、MCのピエール北川氏を相手に、主に前年のレースを振り返るかたちでトークを進行。2025年インディ500における佐藤琢磨選手といえばテスト2日目、ピットイン時のオーバーシュートによるクラッシュが返す返すも悔やまれるが、これによりマシンを新車に更新することができたと、あくまでポジティブに振り返っていたのが興味深い。
それでも、クラッシュで肋骨を骨折したことによる痛みはひどいものだったようで、ブロック注射(神経に直接働きかける麻酔注射)を打ちながらの連日の走行となったとのことだが、これは内臓に悪影響があるため、連続注射(1日1回)は5回までしか認められていないところ、それを上回る注射を行っていたという、壮絶なエピソードも語られた。
このオーバーシュートに関しては、「1秒速くブレーキを踏んでいれば!」という笑い話も出たそうだが、正確には何秒速くブレーキングしていれば回避できたのかを計算したところ、その数字は0.06秒と出たそうだ。これには、いかにシビアなレースに自分が挑んでいるかを、あらためて意識させられたという。
クラッシュからレースまでは僅か3週間弱ということもあり、モチベーションを失いかけたとのことだが、メカニックたちがスピーディにマシンを仕上げていったおかげもあり、トップタイムに近い数字を出せるまでになって、心理的にもかなり回復できたそうだ。
もっとも、そのために佐藤選手自身が地道な努力を重ねたことは見逃せないだろう。マシンの回生システムは操作が非常に難しくデリケートであるということだが、メカニックと相談の上ハンドルをマシンからホテルへ持ち帰り、毎晩ベッドの上でそのスイッチの扱いを練習したというのである。
悪いニュースと良いニュース
今年のチーム体制は前年とは大きく変わらないとのことだが、RLLの大事なメカニック2人が抜けてしまったのが残念だとのこと。その代わりの朗報として語られたのが、須藤翔太氏のチーフメカニック就任である。
須藤氏は、佐藤選手が立ち上げた東日本大震災復興プロジェクトを通じて、その少年時代から交流があったという人物。その須藤氏との協力体制のもとで2026年のインディに挑めるという幸せを噛み締めているのだと、佐藤選手の表情はとても晴れやかであり、良い結果が出ることを確信させる何物かが、そこには確かに存在していた。










