































重量増を最小限に。992.2カレラSに北米限定のMTパッケージ登場
ポルシェは2026年8月13日、現行型となる992.2世代の「911カレラS」に、6速マニュアルトランスミッションを搭載した「MTパッケージ」を追加すると北米市場向けに発表した。当初は8速PDKのみで登場した992.2世代のカレラSだが、顧客からの熱狂的な要望に応える形でのマニュアル復活となる。アナログなドライビングの喜びを最優先に開発されたこの魅力的なモデルの詳細をお届けする。
【画像32枚】ファン渇望の証、赤い「S」エンブレム。軽量化を極めた北米限定「911カレラS」の全貌に迫る
PDK専用からの転換。アナログな運転体験を最優先した開発手法
カリフォルニア州モントレーで発表された新しい911カレラSのMTパッケージは、北米市場の顧客からの圧倒的な要望に応えて誕生したモデルだ。これまで992.2世代への移行に伴い8速PDK専用となっていたカレラSだが、このパッケージの追加により再び3つのペダルを操る喜びが味わえるようになった。
このモデルは、アナログな運転体験を最優先にしつつ、重量の増加を最小限に抑えることを念頭に開発されている。北米におけるポルシェは、このカレラSの追加により、従来型のマニュアルトランスミッションを搭載した911を合計7バリエーション提供することになる。クーペとカブリオレの両方が用意され、どちらも純粋なRRレイアウトが採用されている。
ポルシェ・カーズ・ノースアメリカの社長兼CEOであるティモ・レッシュは次のように述べている。
「生涯にわたるドライビング愛好家として、カレラSへのマニュアルトランスミッションの復活を発表できることを個人的に嬉しく思います。一部のブランドがマニュアルを放棄している中、私たちは様々な用途に応える製品ラインナップにおいて、3つのペダルを提供し続けることを誇りに思っています。クラッチとシフトレバーの操作はすべての人に向けたものではありませんが、それを求めるドライバーにとっては本当に代わりになるものはありません」
カレラS初のセンターロック採用と専用チューニングの数々
リアに搭載されるのは、最高出力473psを発揮する3.0Lの水平対向6気筒ツインターボエンジン。MTパッケージを備えたクーペの車両重量は3327ポンド(約1509kg)に抑えられており、これは軽量モデルである911カレラTクーペと比較してもわずか11ポンド(約5kg)の増加にとどまっている。
このMTパッケージには、カレラSの標準装備をさらに引き上げる数多くのアイテムが盛り込まれている。車高を10mm下げるPASMスポーツサスペンションやリアアクスルステアリング、スポーツクロノパッケージ、専用のエキゾーストチューニング、そしてウォールナット製のシフトノブが標準で備わる。また、カレラSとしては初めてセンターロック式ホイールが標準装備され、通常のホイールから17ポンド(約7.7kg)以上の軽量化を実現している。
エクステリアにはSportDesignフロントフェイシアや、ブラックトリムを備えたチタン製エキゾーストアウトレットが採用され、4ウェイのスポーツシートプラスも装備される。さらに、リアのモデルエンブレムには赤い「S」の文字があしらわれているが、これは北米の愛好家に好まれるカスタマイズからインスピレーションを得たディテールとのこと。
足元を支えるブレーキは、フロント408mm、リア380mmの鋳鉄製ディスクを標準とするが、カレラTとの違いとしてポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)をオプションで選択することも可能だ。
専用のパッケージオプションがもたらす特別な室内空間
新型911カレラSのMTパッケージは、内外装ともに豊富なパーソナライゼーションの可能性を提供している。より特徴的な外観や内装を求める顧客のために、エクステリアおよびインテリアのオプションパッケージも用意されている。
エクステリアパッケージを選ぶと、黒を基調に白いカラーリングを配したHDマトリックスデザインヘッドライトや、セラミカ仕上げのホイール、6速のシフトパターンを地面に投影する特別なパドルライトなどが追加される。一方のインテリアパッケージでは、チョーク色のストライプが入ったPlaid Sport-Texファブリックのシートセンターや、セラミカのインテリアトリム、ブラシ加工が施されたブラックアルミニウムのドアシルガードなど、特別な室内空間が演出される。
北米市場でのベース価格はクーペが167,100ドル(約2660万円)、カブリオレが181,000ドル(約2880万円)に設定されており、デリバリーは2026年末までに開始される予定。なお、今回の発表はあくまで北米市場に限定された独占的なものであり、この魅力的な6速マニュアル仕様のカレラSが今後グローバル展開されるのか、あるいは日本市場に導入されるのかについては、現在のところ未定だ。
【ル・ボラン編集部より】
992.2世代へと進化したポルシェ911。GTSが最新鋭の電動化技術を採用する一方、カレラSに6速MTが復活した事実は極めて重要だ。PDKが効率や変速スピードで圧倒する現代において、あえて3ペダルを残すのは単なる懐古主義ではない。機械との濃密な対話を渇望するエンスージアストへの、ポルシェからの明確な回答である。カレラS初となるセンターロックホイールの採用など、軽量化への執念も見事だ。最新技術による速さの追求と、不変のアナログな歓び。この相反する要素の高次元での共存こそが、911を唯一無二のスポーツカーたらしめている。
【画像32枚】ファン渇望の証、赤い「S」エンブレム。軽量化を極めた北米限定「911カレラS」の全貌に迫る


