




















いま「ミドルクラスSUV」が激戦区と呼ばれる理由
現在、プレミアムブランドにおいてもミドルクラスSUVは高い人気を集めています。その理由として、フラッグシップモデルと共通の技術や機能が搭載されていること、取り回しも良く快適で価格も納得感があることなど、ユーザーの満足度が高いことが挙げられます。また、各社のビジネス戦略においても重要な位置を占めています。
今回は、プレミアムブランドのミドルクラスSUVを代表すると言っても過言ではない、「アウディQ5」「BMW X3」「メルセデス・ベンツGLC」の3モデルについて、トピックや試乗インプレッションを中心に、その魅力や特徴をご紹介したいと思います。
【画像21枚】プレミアムミドルSUV頂上決戦! Q5 vs X3 vs GLC、あなたにぴったりの1台はどれ?
プレミアムブランドの中核を担う「ミドルクラスSUV」の現在地
プレミアムブランドにおけるミドルクラスとは、かつてはアウディA6、BMW 5シリーズ、メルセデス・ベンツEクラスといったところが位置付けられていました。しかし現在は、ボディサイズの拡大や価格の高騰、より小さい各種コンパクトモデルの登場によって、アウディA5、BMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスなどがミドルクラスに該当すると捉えられています。かつてミドルクラスと呼ばれていたモデルは、現在ではアッパーミドルクラスと称されています。
そして、それらのセダンと車格的に近しいSUVモデルがミドルクラスSUVに該当し、プレミアムブランドではアウディQ5、BMW X3、メルセデス・ベンツGLCといったモデルが挙げられます。ミドルクラスのサイズは、全長がおよそ4700~4850mm、ホイールベースがおよそ2800~2900mmと、日本で言う小型車の規格(全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下)よりも一回り大きいサイズです。しかし、全幅は1800mmから、SUVでは1900mmを超えるケースもあります。
3ボックスタイプのセダンは全長が長く、幅の広いタイヤを装着するSUVの全幅が広い傾向にありますが、両者はおよそ近しいビークル・アーキテクチャ(車両の基本設計)を用いて造られることが多いです。ミドルクラスと言うだけに、まさにブランドの中核に位置するモデルであり、それらのモデルは各ブランドのフラッグシップモデルと共通する最新の技術や装備を採用し、駆動レイアウトや車体としての全体パッケージングが近しいところも特徴の一つです。
価格帯は700万円台中盤から1000万円を少し上回る範囲で、プレミアムブランドの中でも人気が高く、販売台数も多いため、各社がしのぎを削る熾烈で熱い激戦区であることから、商品の企画から開発、生産から販売に至るまで、絶え間なく競い合い進化を続けています。
【アウディQ5】先進技術とクワトロがもたらす上質な走り
アウディのSUVとして初めて新世代内燃機関プラットフォーム“PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)”を採用したQ5は、2024年(日本では2025年)に登場しました。路面からの入力特性によってダンピングが変わることで快適性と路面追従性を高める“FSD(Frequency-Selective Damper system)”や、操舵角でギア比が変わるプログレッシブステアリングが装備されています。
新世代プラットフォームとFSDによる快適性
FSDのメリットは、路面からの入力(周波数)に応じてダンパー内のオイル流動が機械的に変化し、ダンピング特性を自動で調整できる点にあります。これにより、路面状況や走り方に適したスタビリティと乗り味が得られます。また、電子制御のような複雑で高コストなシステムが不要なため、故障リスクを低減できるという技術的価値も備えています。
安全面では、最新世代のドライバーアシスタンスシステムが装備されていて、さらにオプション設定される(SQ5には標準装備)第2世代のデジタルOLEDリアライトとリアウィンドウ上のスポイラーのプロジェクションライトが後方からの視認性を向上させることで安全性を高めています。
パワートレインには2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジン(最高出力204ps/最大トルク340Nm)と、2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン(204ps/400Nm)が用意され(SQ5には別途、V型6気筒エンジン)、それぞれ48Vのマイルドハイブリッドシステム(24ps、230NmのMHEV plusシステム)と7速Sトロニック(DCT=デュアルクラッチトランスミッション)が組み合わせられ、一定の条件下では電動モーターのみで走行することも可能です。
マイルドハイブリッドシステム搭載モデルのブレーキには、“iBRS(統合型ブレーキ制御システム)”が採用されています。ブレーキペダルと油圧システムが完全に切り離されていて、減速初期は通常の摩擦ブレーキを使わず、回生ブレーキ(バッテリーへの充電)のみで減速を行います。さらにペダルを踏み込めば摩擦ブレーキが作動しますが、その際もペダル操作の感触が変わらないよう精緻にチューニングされています。
インテリアにはMMIパノラマディスプレイが備えられ、最新のコネクティビティとインフォテインメントシステムを統合した“デジタルステージ”が整えられていて、ウインカーと連動するダイナミックインタラクションライトが室内をムーディーに演出してくれます。
流麗なデザインと未来感あふれるインテリア
試乗したQ5 TDI quattro 150kW advanced(ディーゼルエンジンモデル)のエクステリアは、フロントグリルを中心に迫力がありつつも端正でスマートに仕立てられ、今のアウディに共通するアイデンティティが感じられつつ、Q5ならではのSUVらしい存在感が乗る前から嬉しい気分にさせてくれます。
インテリアは、MMIパノラマディスプレイを中心として横方向の広がりやつながりが感じられ、未来的にも思えるセンスの良いデザインで、慣れてしまうと常に欲しいと思ってしまう美しいダイナミックインタラクションライトからも今のアウディ全体に通じるトレンドを伺い知ることができ、前席も後席も広さは十分と言えます。
スタートすると、電動モーターによるトルクのアシストの恩恵が感じられ、バランサーシャフトが搭載された直列4気筒ディーゼルエンジンの音が遠くから聞こえ、7速Sトロニックが変速ショックも小さくスムーズに速度を乗せていってくれます。
ポイントは、特に滑りやすい雨の日や砂っぽい舗装路などの状況において、路面へのトルクの伝え方で定評のあるクワトロ(4輪駆動)に乗っていると感じさせてくれる場面も垣間見られることです。AWDクラッチを用いたタイプのクワトロは、燃費の良い前輪駆動をベースにトラクション不足が予測されれば、即座に後輪も駆動して走行状態を安定させてくれます。
iBRSを採用するブレーキは、初期の応答からスムーズで違和感も無く、回生ブレーキから通常のブレーキに切り替わっていると想定される強さでブレーキをかけた際にもスムーズに減速してくれるので、扱いづらさを感じる場面はありませんでした。
A5系と同様にPPCを採用したQ5の走行中の静粛性は全般に高く、エンジン音やロードノイズ、高速走行時の風切り音も小さく、ステアリングには路面からのフィードバック等の運転に要するインフォメーションと引き換えに若干の振動が感じられるものの、FSDの効果もあってか乗り心地はさまざまな状況下においても良く、プレミアムSUVらしい上質さを味わうことができます。
車体全体をパッケージングとして捉える際に、マイルドハイブリッドの搭載を前提に設計されたプラットフォーム(PPC)を用いることによって、走行やエンジン等に起因する共振で生じる振動や音といった乗り心地に直結するところの最適化が図られていることが上質さの源ではないかと考えられます。
全体を通してQ5は、“乗る前に見る”エクステリアのダイナミックさと流麗さを上手に融合させている均整のとれたデザイン、“乗り込んでから”のインテリアのクールで安心させてくれる未来感、“走り出してから”の走行中も一貫してアウディQ5に乗っているんだ! と感じられるところが、カーライフとしての満足感にもつながる魅力であると思います。
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