ロールス・ロイス、わずか100台限定のコーチビルド・コレクション「プロジェクト・ナイチンゲール」
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、2026年9月21日に新たなコーチビルド・コレクション「プロジェクト・ナイチンゲール」のグローバルテストプログラムを開始した。わずか100台限定となるクライアント向けモデルであり、完全なデザインの自由度と妥協なきフル電動パワートレインを融合させた、ブランドの現在における最も贅沢な表現と将来のビジョンを示す一台となっている。世界中でドライブされることを想定し、歴史上最も厳格なテストが実施される。
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過酷な環境を網羅するテストプログラム
プロジェクト・ナイチンゲールは、クライアントが運転を想定する極限の環境や場所において性能を証明するため、エンジニアたちが延べ350週間に及ぶテストを敢行する。プロトタイプは地中海の山岳道路や北極圏、アラビア半島の砂漠へと旅立ち、極端な気温や標高2750メートルに達する高地を耐え抜く計画だ。

プログラムの最初の舞台となるのは南ヨーロッパであり、ここは100年以上前にロールス・ロイスが綿密な開発アプローチを確立した原点の地である。南フランスにおけるつながりは特に深く、プロジェクト名の由来となったのは、ヘンリー・ロイス卿がフランス・リビエラの自身の冬の邸宅付近にデザイナーやエンジニアのために建てた邸宅「ル・ロシニョール(ナイチンゲールの意味)」である。20世紀初頭と同様の厳格な基準が、これまでにない新しい自動車へと適用されている。
徹底した空力解析と洗練性を極めたディテール
公道での走行プログラムに至るまでには、約3年前から開発の旅が続けられてきた。静的プロトタイプはすでに1430時間を超える空力モデリングを実施し、高度なデジタルシミュレーションや風洞実験を重ねている。プライベートな高速テスト施設では最高速155mph(約250km/h)に達し、風切り音を極限まで抑え込むことで、圧倒的なパワーと静寂、そして絶対的な余裕を両立させる。

また、車内の空気の流れを最適化するため、専用の完全電動ウィンドディフレクターが開発された。これにより、後方からの空気の巻き込みを防ぎ、ルーフを開けたままでの寒冷地走行時にも室内の暖かさを維持する。さらに、カシミヤやファブリック、高性能複合材を組み合わせた独自の遮音素材を持つルーフは、開閉機構や最高80°Cまでの温度下での性能など、10種類の個別テストを受けている。
伝統的な演出とエンジニアの熟練の技
もう一つの大きな特徴が、ロールス・ロイス初採用となる「ピアノ・ブート」だ。

カンチレバー式で横方向に開くこの機構は、最大1万5000回の開閉サイクルテストに耐える設計とされ、世代を超えて完璧な動作と美しい演出性を保ち続ける。計器類による正確なデータ計測に加え、最終的にはロールス・ロイスの経験豊富なエンジニアたちの卓越した判断力と直感が、ブランドが誇る至高の静寂性と威厳を完成させる。
【ル・ボラン編集部より】
電動化がもたらす無音の恩恵を単なる環境性能ではなく、圧倒的な「静寂と威厳」という至高の贅沢へと変換する手腕はロールス・ロイスの真骨頂である。かつて南仏で培われた100年前の綿密な開発哲学と、最新のデジタルシミュレーションという新旧のアプローチが高次元で共存している。先の「スペクター」が証明したように、電動化という変革は彼らの世界観を揺るがすどころか、独自の洗練をさらに深める触媒に過ぎない。本作もまた、内燃機関を持たないことで初めて完成する新時代の芸術品といえる。
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