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【世界初公開】ベントレー初のピュアEV「トルカル」誕生。あえて空力より「伝統美」を貫く逆転の発想と次世代の極上空間《LE VOLANT LAB》

ベントレー・トルカル
ベントレー・トルカル
ベントレー・トルカル
ベントレー EXP15

ベントレー初のピュアEV「トルカル」がワールドプレミア

2026年7月に概要のみが先行公開され、世界中の自動車ファンの間で話題を呼んだベントレー初のピュアEV(BEV)「トルカル」。9月23日(現地時間)のワールドプレミアにて、その全貌がついに明らかとなった。ポルシェ・カイエンと共有するプラットフォームを採用しながらも、あえて空力より伝統美を重んじる「逆転の発想」が貫かれている。最高出力888psを誇る至高のSUVが提示する次世代の極上空間と、ウェルビーイングの真髄に迫る。

【画像82枚】888psの至高の電動SUV。ベントレー「トルカル」が体現する次世代のウェルビーイング空間をすべて見る

創業年にちなんだ「19時19分」に発表。コンセプトカー「EXP15」を市販化

2018年、ベントレーは2025年までに初のピュアEVモデルを市場へ投入することを示唆。2020年発表の長期事業戦略「ビヨンド100」においてその開発を正式に発表した。以来、様々な噂、憶測が流れてきたが、ロンドン時間2026年9月23日19時19分(発表時刻はベントレーの創業年に由来するものだ)、ベントレーはついに初のBEVモデル「トルカル」を発表した。

トルカルという名は、スペイン、アンダルシアの景勝地トルカル・デ・アンテケーラから名付けられたもので、英語のトルクの語源でもあるラテン語の「torruere(ねじるの意)」に由来するもの。そこにはまた、ベントレーが107年間体現してきた「エフォートレス・プログレッション(力強く滑らかな前進)」という意味合いも込められているという。

実は8月末にベントレー・クルー本社工場で行われたプレビューでひと足早く実車に触れることができたのだが、そのデザインは昨年公開されたコンセプトカー「EXP15」のエッセンスを引き継いだものになっていた。

日本人デザイナーが体現した、空力至上主義への「逆転の発想」

ポルシェ・カイエンと同じPPE41Cプラットフォームを使用するトルカルのボディサイズは、全長4983mm×全幅2016mm×全高1674mmと想像以上にコンパクトなものだった。実際、ベンテイガよりも161mm短く、50mm低くなっているという。

しかしながら威風堂々と見えるのは、ダイヤモンド状のLEDが埋め込まれたフロントグリルなど、新しい時代のベントレーを予感させるデザインに拠るところが大きい。

このたびエクステリア・デザイン責任者に就任したT・ジョン・メイヤー氏によると、主にエクステリアのデザインを手がけたのは、EXP15に続き日本人デザイナーの佐藤 靖氏だ。

フロントからリアにまで伸びる「エンドレス・ボンネット」、気高い馬のようにフロントパネルが立ち上がる「アップライト・エレガンス」、リアフェンダーの「レスティング・ビースト」と呼ばれる筋肉質なボリューム、トルカルのアイデンティティの1つといえる「フローティング・ダイヤモンド・グリル」、広くクリーンな面とそれを囲むダイヤモンドパターンのリアライトで構成される「プレスティージャス・シールド」といった、ロビン・ペイジ体制下のベントレーで育まれてきたデザイン・キーが散りばめられている。

面白いのは空気抵抗の低減という課題が必須とされ、グリルレス・デザインの多いBEVにおいて、巨大なグリルや1990年代のコンチネンタルTをモチーフとしたヘッドライト周りの造形など、あえて時代に逆行するトラッドなスタイルを採用していることだ。

聞けばグリルはダミーで、その前に透明なカバーをつけることで空気抵抗の低減には配慮されているとのことだったが、あえて空力を第一に考えず、それよりも使い勝手や見た目の美しさ、質感、高級感を優先するスタンスを貫いているのだという。ある意味「逆転の発想」だが、その試みは見事に成功していると思う。

航続距離600kmを誇る、妥協なきメカニズムと四輪制御

話をメカニカルパートに移そう。前後に2基の電気モーターを配置したトルカルには、ベントレー史上最高となる最高出力888ps、最大トルク1350Nmを発生し、0-100km/h加速2.9秒、最高速度260km/hを誇る「トルカルSファースト・エディション」と、最高出力821ps、最大トルク1194Nmを発生し、0-100km/h加速3.4秒、最高速度250km/hを記録する「トルカル」の2モデルが用意されることになっている。

その航続距離は最大600km(5時間の走行に相当)で、400kWの急速充電により16分で10-80%の充電が可能(いずれもトルカルSの場合)となっている。またアダプティブ2バルブダンパーを備えたアクティブ・サスペンションを装備しており、アンチロールバー非搭載でありながら、歴史上のどの4ドアベントレーよりも鋭いコーナリング性能と「魔法の絨毯」のような乗り心地を両立しているという。

もちろんSUVらしくオフロード性能も盤石で「スノー&グラス(雪道・草地)」と「ダート&トレイル(泥道・未舗装路)」の2種類の走行モードを用意。ホイールごとに制御することで常に最適なトラクションがかかるほか、オフロード走行時にあえてサスペンションを固く引き締めることで車輪と車体のクリアランスが縮みすぎず、一定に保たれるようになっており、ロー・ボディストラクチャーでも十分なオフロード走破性を実現しているそうだ。

五感を満たす「キュレーション・エンジン」とベンテイガ同等の居住空間

一方、インテリアもまたトルカルの大きな見せ場である。

まずウイングドBをモチーフにしたインパネには、ラウンドしたOLEDスクリーンを配置。また手で頻繁に触れるスイッチ類にはあえてメタルパーツを使用するほか、ウインカーの作動音は革をハンマーで叩く音、駆動音は往年の6.75L V8 OHVをドラムで再現した音をサンプリングして採用するなど、ナチュラルな質感、作動感にこだわった演出がなされている。

その最たるものが、トルカルで初採用された「キュレーション・エンジン」である。これまでは「ベントレー」、「コンフォート」、「スポーツ」など走行モードに応じてエンジンやサスペンションのセッティングが変えられてきたが、トルカルでは感覚神経科学に基づき、光、音、熱、換気、カラー、グラフィックスなども調整した環境設定を実現。例えばリフレッシュモードを選ぶとグリーン基調の照明となり、室温が0.5度下がるといった、ウェルビーイングを一歩先に進めた試みがなされている。

他にもフォックスブラザーズと共同開発することで耐久性の問題をクリアし、初めて自動車用トリムとして採用されたメリノウール、1mm以下にスライスしたウッドの端材とリサイクルペーパーを1000枚重ねてプレスしたオンブレ・ヴェニア、現代流のエンジンターンド加工というべきサンバースト・アルミニウムといったサステナブルにも配慮した様々なマテリアルをインテリアに採用する一方で、新世代のADAS(先進運転支援システム)、顔認識、AR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイといった最新のデジタル技術も搭載。面白いところでは、自動オープン&クローズ機構(座ってシートベルトを締めると自動でドアが閉まる)がついたドアに、キーについたボタンで4枚を同時に開けられるギミックなども備わっている。

そしてもう1つ忘れてはいけないのが、ボディサイズがコンパクトになったにもかかわらず、室内空間自体はベンテイガと同等のスペースを維持していることだ。しかも透明度を変更できるグラスルーフを装備しているため、より広く感じられるのも事実である。またフロントに90L、リアに460Lのラゲッジスペースを確保しているほか、2.7トンの牽引能力も有しているということで、高級感だけでなく実用的なSUVとしての資質も兼ね備えているのである。

これ以外にもさまざまなトピックにあふれたトルカルは、2026年9月23日より受注を開始。生産開始は2027年第2四半期(Q2)を予定しており、気になる価格はトルカルSファースト・エディションが20万英ポンド(約4160万円)~、トルカルが16万5000英ポンド(約3430万円)~とアナウンスされている。

【画像82枚】888psの至高の電動SUV。ベントレー「トルカル」が体現する次世代のウェルビーイング空間をすべて見る

Photo: Bentley Motors
藤原よしお

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