クーペとは異なる、エレガンスが香る
6シリーズの実質的な上級移行モデルとなる新生8シリーズに早くも4座オープンのカブリオレが追加設定、国内導入が開始された。このクラスのクーペ&カブリオレの場合、カスタマーからの要求項目は多岐に渡り、しかもハードルは高い。が、これに対するBMWからの回答は明快。あくまでBMW流儀のラグジャリーが全身に貫かれている!
BMWは8シリーズを「最上級ラグジャリークーペ」であると位置づけている。だが、実際にクーペを走らせてみると、530psを発揮する4.4LのV型8気筒ツインターボエンジンを積むだけに、走行モードがスポーツならアクセルを踏み続けると爆音を響かせながら一気にレブリミットまで吹け上がる。同時に、全身の血液が瞬時に沸騰しそうな加速Gが炸裂するというピュアスポーツなのだ。しかも、ラグジャリークーペとして位置づけるなら、路面のザラつきを通過するときのゴーッというロードノイズや継目を踏んだときのドスッという打音など、不快感を覚えるほどではないにせよ、タイヤ起因のノイズをもう少し抑制すべきだと思っていた。
そんな8シリーズに追加投入されたのがカブリオレだ。クーペはエクステリアからしてアグレッシブだが、カブリオレはソフトトップならではのクラシカルな印象によりエレガンスを醸し出す。そして、スイッチ操作だけで50km/h以下なら走行中でも15秒で開閉可能なソフトトップを開け放つと、まさにラグジャリー、洗練の極みに到達する。4シーターのキャビンを囲うクロームのトリムは、心が奪われるほどに美しい。
さらに、フロントウインドーがかなり寝ているのでそれが目前に迫り、走行中に素通しの景色が視界に入らないのではないかと心配していたが、まったく問題はなし。開放感が高く、景色の流れが楽しめ、清々しい気分にさせてくれる。サイドウインドーを下げたままでも、気流の乱れがなく風の心地よさまで実感できるのだ。
そればかりか、タイヤに起因するロードノイズや打音が発散されるので、走りの質感も高くなる。ボディ剛性がクーペと異なることで、振動を抑え込むのではなく吸収するためか、タイヤから伝わる接地感の硬さが控えめになる。クーペも、走行モードがコンフォートなら乗り心地ではラグジャリークーペらしさが実感できるが、カブリオレには「最高級」を冠する位置づけにリアリティが加わる。