毎年1月に開催される「家電の見本市」
10秒で磨けるハイテク歯ブラシからアレクサを搭載したランボルギーニ・ウラカンまで、およそ4400社のハイテクスタートアップから巨人グーグルまでが集結するCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が、今年も1月6日からラスベガスで開催された。
今回、プレスカンファレンスを含めてもっとも注目が集まったのは、ソニー初のBEV「ヴィジョンS」だった。製作を担当したのはオーストリアのマグナで、“テスラ・コンプレックス”のカタマリのようなデザインのコンセプトBEVは、晴舞台がアメリカなのにスペックがすべてメトリックベースとややチグハグな感じはしたものの、ソニー・センサー・フュージョンのショーケースとしては効果があったはずだ。ただし、ソニーはこのBEVをエクスペリアのように商品化することはないだろう。現実的には、アップルやダイソンのように手を出さないという判断が妥当なはずだ。
一方、CESはモーターショー以上の価値があると標榜するメルセデス・ベンツは、新社長オーラ・ケレニウスがヴィジョンAVTRを携えてキーノートを発した。このコンセプトカーは大ヒット映画「アバター」とのコラボレーションで、登場する異星人ナヴィと人間のようにドライバーとクルマが一体化する。まず、キャビンに収まりジョイパッドに触れた瞬間、AVTRから鼓動のような反応が返ってくる。インフォテイメントは手をかざすと手のひらにアイコンが照射され、必要なそれを選択して手を握ると「確認」、前方に投げるように開くと「作動」する。これが噂される次世代MBUX、NTG7.0に違いない。
4年前からCESに参加しているBMWは、会場の中庭にパビリオンを設けて試乗会を実施。主役はi3をモディファイした「アーバン・スイート」と呼ぶコンセプトカーで、助手席と後席を乗員がテーブルとフットレスト付きシートで独占する。ただし自動運転ではなくドライバーが必要で、オンデマンドで走るものの、まるで電気人力車? のようだった。
初参加が2012年というドイツ勢最古参のアウディは、AR&3Dヘッドアップディスプレイや、自動運転モードでビデオやゲームを楽しめるオンデマンドディスプレイを持ち込み、クルマのエンターテインメント化を提案していた。
このほか、地元アメリカのメーカーはフォードがデイバリー・ヒューマノイド、FCAはコンセプト・エアフローを展示したがGMは不参加と、足並みは揃わなかった。実はCESは、まだカーメーカーすべてを集合させる舞台としては条件が整っていないのである。