昨年、満を持して8世代目へとバトンタッチされたゴルフのデリバリーが、ドイツ本国を皮切りにいよいよスタートした。つまり、われわれメディアへ取材用に貸し出される車両もようやくスタンバイ。そこで、まずはあらためてその実力を確かめるべく、競合モデルも同時に召集した。ドイツを代表するプレミアムブランドとの第一ラウンドである。
王者に立ち向かうプレミアムコンパクト
いかに世界中でSUVが売れていても、コンパクトカーセグメントのシェアは世界市場の中で大きな変化はなく、23~25%を確実にキープしている。クルマも政治も保守派勢力は根強いのだ。
このカテゴリーに1974年から投入されたフォルクスワーゲン・ゴルフは、以来ベンチマークとして着実に進化を遂げ、様々な面で世界の自動車メーカーにとって規範的な存在となってきた。今回は、昨年フルモデルチェンジで8世代目となったゴルフの実力をあらためて検証するべく、ライバルとしてプレミアムブランドのBMW118iとメルセデス・ベンツA200をチョイス、約2週間にわたって横並びの比較テストを行なってみた。ちなみに、日本での使用条件も考慮し、アウトバーンでの高速走行よりも、街中などデイリーユースを重視したテストとした。
新型ゴルフは今年3月から、いよいよドイツ市場を皮切りに発売開始となった。とはいえ実情はまだフル稼働とはいえず、筆者のところへ最初の広報車が届いたのは公式発売日から1カ月も経ってからだった。試乗車はゴルフ1.5eTSI ACTの「ライフ」と呼ばれる仕様で、ほぼすべてのオプションを搭載したモデルだ。エンジン(EA211)は1.5L4気筒ターボで、最高出力は150ps、最大トルクは250Nmを発生。7速DCTとの組み合わせで0→100km/hを8.5秒で加速、最高速度は224km/hに達する。
また、このゴルフVIIIにはコンパクトクラスとして初めて48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載される。ベルト駆動のスタータージェネレーターがクランクと繋がっており、このシステムによってエンジン休止から快適にリスタート、さらに48Vバッテリーへ充電しエンジン休止中にはEPASなどへのエネルギー供給を行う。加えて、このエンジンには気筒休止システムも搭載されており、100kmあたり最大で0.3Lの燃料を節約できる。
118iは同じ1.5L(B38)ながら、気筒数を減らしイナーシャの少ない3気筒直噴ターボ・エンジンを搭載する。最高出力は140ps、最大トルクは220Nmを発生。組み合わされるトランスミッションは同じく7速DCTで、カタログ上の動力性能は0→100km/hが8.5秒、最高速度は213km/hとされる。
A200に搭載される4気筒直噴ターボ(M282)の排気量は1.4L(正確には1332cc)と最小ながら、最高出力は163ps、最大トルクは250Nmと3台の中では最もパワフル。その特徴はカムトロニック可変バルブ、デルタフォームシリンダーヘッド、さらにシリンダーには摩擦抵抗の少ないナノスライドと呼ばれるグラファイトメッキ加工が施されていることで、気筒休止システムも採用するハイテクユニットだ。7速DCTを介してのパフォーマンスは0→100km/hが8.3秒、最高速度は225km/hである。