メンズシューズなどのレザーグッズを展開するイタリアの老舗、ア・テストーニから2014-15 秋冬コレクションが登場した。ご紹介するのは、一見するとコーデュロイに見えるが、実はスウェードレザーを使っているドライビングシューズだ!
※この記事はル・ボラン2014年9月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
ア・テストーニ ドライビングシューズ
足の心地よい季節、休日の足元は専らサンダルなのでは? 涼しく、リラックスできる。夏気分を象徴する解放感は何物にも代えがたいが、やはり運転には向かない。そこで登場するのがドライビングシューズだ。
クルマ好きにはおなじみのアイテムだが、それでも毎年魅力的な新作が登場し、ワクワクする。今回注目したのはア・テストーニ。1929年にイタリアを代表する高級皮革製品の生産地、ボローニャで創業したシューメーカーの名門だ。
一見すると素材はコーデュロイだが、実はスウェードレザーに型押しをしているのだ。クルマの内装にも樹脂をウッド風に仕上げたり「カーボンルック」といった安普請があるが、こちらは本格的なレザーをあえてコーデュロイに見せるという逆発想。いかにもイタリアらしい遊び心のある仕様だ。
ア・テストーニはボロネーゼ製法をはじめ伝統的な製靴技術に磨きをかける一方、卓越した技術力を活かし、現代的なスタイルを提案する。以前ブランドCEOのブルーノ・ファンテーキ氏に取材した時も「ラグジュアリーというと、ひと目でわかるような贅沢さで表現されることが多いのですが、私たちはちょっとした違いで表現します。しかも素材や技術の研究を重ねなくては実現できない手法でです」と語っていた。まさにその精神がこのドライビングシューズにも貫かれている。
ソールは四角いラバーに細かな刻みを入れ、まるでタイヤのトレッドパターンを思わせる。形状も前半分は中央から左右にかけて自然な曲線を描くのに対し、踵部分はフラットになり、フットペダルの操作性と歩行時の安定感を両立している。これも熟練かつ、手間を惜しまぬ技術があってこそのスタイルだ。履いてみれば、包み込むような履き心地と柔らかなクッション性が味わえる。
そしてこれもイタリアらしいなぁと感心したのは、履いた方が靴自体もカッコよく見えるということだ。英国靴などは靴そのものが存在感を主張し、履いてみると意外に似合わないことがある。ア・テストーニはそれとは対極で、人間が履くことで命が吹き込まれ、美しさが増すようだ。ぜひ一度履いてみることをお薦めする。
ファッションとの相性のよさはイタリアブランドならでは。コーデュロイ風の見た目はいまの季節に履いても違和感がない。夏のドライブを爽やかに演出してくれるだろう。
A TESTONI DRIVING SHOES
ア・テストーニは、靴職人のアメデオ・テストーニによりイタリアの古都ボローニャで1929年に設立。「世界でもっとも美しい靴を作る」という夢を掲げ、同地方に古くから伝わる靴の伝統製法に改良を加え、ア・テストーニの代名詞ともいえるボロネーゼ製法を確立。これはライニングとインソールを一体のように縫い合わせることで、柔軟性に優れ、足あたりが柔らかく、履き心地がよいことが特徴だ。現在はメンズ&レディスのシューズコレクションに加え、革小物やバッグ、アクセサリーを展開。
●問い合わせ先:ア・テストーニ銀座本店 https://www.testoni.com/jp/