ロボットがEVと通信し、自動的に充電用ポートを開いてプラグを差し込む!
ヒョンデ モーターグループは、電気自動車(EV)用の自動充電ロボット(Automatic Charging Robot、以下ACR)を開発し、本日、その機能を紹介する動画を公開した。電気自動車用ACRは、ケーブルをEVの充電口に差し込み、充電が完了すると再びケーブルを取り外すことができる片腕のロボット。今回の動画は、2022年の7月にヒョンデが公開したCGIバージョンに続くもので、実物のロボットが動く様子が撮影されている。
新しい動画は「ヒョンデ・IONIQ 6 (アイオニック)」がEV充電ベイに自動駐車するシーンから始まる。車両が停止すると、ACRは車両と通信して充電口を開き、内部に搭載したカメラで正確な位置と角度を計算する。そしてロボットが充電器を手に取って車の充電用ポートに固定することで、充電が開始される。充電が完了すると、ロボットは充電器を取り外して元の場所に戻し、車両の充電口のカバーを閉めるという。
【写真4枚】すごい! EVと通信して充電してくれるロボット。
「ACRは、特に暗い場所でのEV充電をより簡単に、より便利にすることに貢献します。また、急速充電を可能にするために充電ケーブルが太く重くなっており、特に移動に障害を持つ人々のアクセシビリティーも向上します。すべてのEVユーザーが充電ステーションでACRを使用するメリットを早期に享受できるように、安全性と利便性の向上を目指して開発を続けていきます」と、ヒョンデのロボット研究所長であるDong Jin Hyun (ヒョン・ドンジン)氏は述べる。
一見シンプルに見えるACRは、当グループの高度なロボット技術の一例だ。ACRの開発にあたってヒョンデのロボット研究所は、車両の駐車位置、充電用ポートの形状、天候、潜在的な障害物、充電ケーブルの重さなど、さまざまな要素を考慮したという。ロボットが充電器を充電用ポートに確実に固定するには、これらの複数の要素を同時に計算できるソフトウェア技術が必要なため、3Dカメラを用いたAI技術をロボットに応用するアルゴリズムを開発し、この応用による次世代制御技術によって、ロボットが重い充電器を正確に取り扱うことができるようにした。
多くのEV用充電器は、屋外にカバーもなく設置されているため、ヒョンデの技術者は研究開発センターで特注の屋外用EV充電ステーションを製作し、さまざまな条件下で性能を評価。その結果ACRは、防水・防塵等級IP65 ※を確保し、過酷な環境下でも安定的に動作するように性能が大幅に向上した。さらにロボットの周囲にはレーザーセンサーを内蔵した安全ポールを設置し、静止および移動する障害物を検知することで事故を未然に防ぐことを可能にしている。
ヒョンデは、ACRがEV充電の利便性を大幅に高め、将来的には自動駐車制御システムと組み合わせることで、複数の駐車車両を順次充電して利用率を向上させることができると期待している。今回発表されたACRは、2023年3月31日(金)から4月9日(日)まで韓国の「KINTEX(京畿道高陽市一山西区)」で開催される「2023ソウルモビリティショー」のヒョンデ展示ブースに展示される。
※IP規格は、電気製品の保護性能を分類するために使用される。IPとは、「Ingress Protection」の略で、汚れや 油、水などの液体・固体から機器を保護するためのエンクロージャーを指す。IPは「Ingress Protection」の略で、続く2桁の数字は、固体(0~6)、液体(0~9)に対する製品の保護能力に基づいてランク付けされている。IP65 は、最高レベルの防塵性能と、あらゆる方向からの低圧の噴流に耐えられることを意味する。