海外試乗

より強く逞しくアップデート!アッパーミドルSUVの筆頭、新型「メルセデス・ベンツGLE」を海外試乗!

動力性能だけでなく室内も上質に生まれ変わった

メルセデス・ベンツのアッパーミドルSUVであるGLEは、1997年に登場した同社のSUVのルーツであるMクラス(W163)の直系で、2015年にGLEすなわちEクラスのSUVと言う意味のシリーズ名を与えられて登場し、2019年から現行モデル(V167)へと引き継がれた。

【画像7枚】今年3月にフェイスリフトを受けたGLEを細部チェック!

そして4年目を迎えた今年3月にフェイスリフトが行なわれた。内燃機関モデルはあと数年間の運命だが、このGLEが属する5メートル級のアッパーミドルSUVにはアウディQ7、BMW X5そしてポルシェ・カイエンなどのライバルがひしめいており、まだまだ徹底的なアップデートが必要であると判断されたのである。

ノースカロライナ州のシャーロットで開催された新型GLEの国際試乗会では、主にGLE 53 4マチック+クーペのステアリングを握る機会に恵まれた。まず目に飛び込んできたのは、存在感が増した前後のバンパーや新しいデザインのデイ・ドライビングライトが与えられたマルチビームLEDヘッドライトなどで、視覚的なアップデートは明らかであった。

一方、インテリアで目を引いたのはGLSやSクラスに搭載されているタッチ機能を持つマルチファンクション・ステアリングホイール、そして12.3インチのスクリーンを2枚並べ、右側がタッチ機能を持つデジタルスクリーンである。個人的にはセンターコンソールにタッチパッドが残されているのが嬉しかった。

OSは新しいネットワーキング機能やさらに使い易くなった音声入力などが特徴の第二世代MBUXを搭載。ソフトウエアのアップデートは当然ながらOTA(オーバー・ジ・エア)で完結する。

またオプションのヘッドアップディスプレイは45×15cmと十分な面積を誇っている。さらに新しい走行機能としてボンネット下の路面状況をセンターモニターで見ることが可能となった。これはオフロード走行での路面確認だけでなく、狭い道、さらに滅多にないことだが車両運搬やランプ走行などでも非常に有用な機能といえる。

試乗車のメルセデスAMG GLE 53 4マチック+クーペは3L直列6気筒(M256)を搭載。オプションの「マルチビームLEDヘッドライト」はデイタイムライトの楕円ランプが上下合計4つ備えられる。

しかし、今回のフェイスリフトのトピックはパワートレインである。まず、すべての内燃機関モデルには22psと200Nmを発生するISGによる48Vマイルドハイブリッドを採用。さらに搭載バッテリーがボリュームアップされ、航続距離が100kmを超えたPHEVを筆頭に、各モデルがパワーアップされている。

メルセデスAMG謹製SUVのスポーツ性は伊達ではない
試乗したGLE 53 4マチック+クーペは3L直列6気筒を搭載。最高出力は旧モデルと同じ435psだが大型化されたターボのおかげで最大トルクは560Nmを発生する。もちろん前述したMHEVも搭載されており、加速時のブースト、コースティング時のエンジン停止、アイドリングストップからのスムーズな再スタートを可能にしている。

トランスミッションは9速のAMGスピードシフトを搭載し、0→100km/h加速で5秒、最高速度は250km/hでリミッターが作動する。

実際に試乗に繰り出し、早々にハイウェイへとアクセスする。9Gトロニックは実にスムーズで進入に際して強くスロットルを踏み込んでもシフトショックを感じさせることなく、スピードメーターの数字だけが上昇して行く。巡航速度の70マイル(約112km/h)ではオプションのエアサスが快適この上ない乗り心地を提供してくれた。

クロームとウッドによる豪華ヨットのキャビンのような緻密な仕上げのインテリアを楽しみながら、やがてカーブの続く峠道に入り、ここで走行モードをコンフォートからスポーツへと切り替える。すると、シャシーは明らかに引き締まり、ボディは安定した挙動でコーナーをぬけて行く。メルセデスAMG謹製SUVのスポーツ性は伊達ではないが、7シーターのピープルズムーバーとしても十分以上の役割を果たしてくれるだろう。

フェイスリフトを受けたGLEはこれまで通りアメリカ・アラバマ州のタスカルーサ工場で生産され、ドイツ本国では夏からデリバリーが開始される予定だ。日本への登場も時間の問題であると思われるが、参考までにGLE534マチックは112,496ユーロ(約1755万円)。そして、今回試乗したGLE534マチック・クーペは120,832ユーロ(約1885万円)と発表されている。

レポート=キムラ・オフィス フォト=メルセデス・ベンツ・グループAG
LE VOLANT web編集部

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