自動車メーカーの思想や進むべき方向性を如実に示すのが販売の最前線だ。メルセデス・ベンツ、BMW、そしてアウディの最新ショールームを取り上げ、それぞれの個性や魅力を掘り下げながら「いまとこれから」を感じてみたい。まずは、メルセデス・ベンツ編
東京・銀座に軒を連ねるブランドの情報発信基地
キーワードはトップエンド・ヴィークルだ。究極的にラグジャリーな移動空間を提供するマイバッハに、メルセデス流のスポーツ魂を詰め込んだAMG、そして孤高のオフローダーとして強烈な存在感を放つGクラス。この3つのブランドを集結させたショールームが東京・銀座にある。シュテルン世田谷が運営するスターズ@メルセデス・ベンツ銀座だ。
しかもそれぞれを“共存させない”のが最大の個性だ。箱こそ同じながら、時期によって各ブランドが瞬時に入れ替わる。展示車はもちろん、大型デジタルサイネージや可変式ウォール(壁面)、珍しいコレクションの数々、そこはかとなく流れる音楽に至るまで、数ヵ月ごとに早変わりするという。そんなショールームは世界中どこを見渡しても過去に例がない。
訪れた日はマイバッハの世界観で統一されていた。今までマイバッハ専売拠点など皆無だったから、その点だけを取っても貴重だ。クルマの脇にそっと展示されるマイバッハ・コレクションの類も、日本ではここでしかお目にかかれない。観光地的な側面を持つ銀座という立地も手伝って、遠方の方や訪日外国人も興味深くショールームを見つめ、また足を踏み入れている光景が印象的だった。
「日本全国、ときに世界中からお客様がいらっしゃいます。興味をお持ちなら、たとえ遠方の方でも敷居の高さを感じることなく気軽にお立ち寄りして欲しい。弊社(シュテルン世田谷)のネットワークを活かして柔軟なサポート体制を持っています。むしろ弊社の枠組みを超えて、メルセデスブランドの魅力を訴えていきたい」
と、お話ししてくれたのは同ショールームに常駐する亀田羽純氏である。彼女はプロダクトエキスパートという肩書きを持っていて、この3ブランドを始めメルセデスにまつわる膨大な知識を持つ。もしマイバッハやAMG、Gクラスに興味があれば、親身になって相談に乗ってくれるに違いない。
「メルセデス自体、今ではBEV(EQ)を推進していますが、逆に今こそICE(内燃機関)のメルセデスを手に入れる最後のチャンスでもあります。AMGの各モデルはもちろん、現在展示しているマイバッハS680などは純内燃機関のV12を積む最後のモデルになるでしょう。その価値を強く訴えたいと考えています」
マイバッハだけではなく、AMGも発売間もないモデルなどを率先して展示するという。ここなら亀田氏のようなプロフェッショナルと一緒に、専用に誂えられた商談ルーム(サロン・プリヴェ)で落ち着いて色や仕様を検討できるし、それらを悩む時間も含めて特別なひと時を体感できる。
「上質かつ快適であったり、心躍る走りであったり、私が訴えたいメルセデスの魅力は多々ありますが、なによりも安全性に秀でていること。それはメルセデスに一貫して宿るものであり、それを自信を持って訴えたいですね」
と、話す亀田氏は、銀座という地の利を活かして世界中の人たちにメルセデスの魅力を訴えていた。ユニークな施策を採ったショールーム運営を含めて、ここスターズ@メルセデス・ベンツ銀座は、世界を代表するメルセデスの情報発信基地であり、今までにない体験のできる稀有な空間である。
スターズ@メルセデス・ベンツ銀座
住所:東京都中央区銀座5-11-1
営業時間:10:00-18:00
定休日:水曜日(祝日は営業)
電話:03-4564-5111